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「記述式」大学が採点、1月実施のまま

新テスト実施のイメージ

文科省案 20年度に始める新テスト

 現行の大学入試センター試験に代えて2020年度に始める新テストについて、文部科学省はセンター試験と同じ1月に実施し、新たに導入する記述式問題の採点を受験生が出願した各大学に依頼する方針を固めた。マークシート式の採点は従来通り大学入試センターが担う。文科省は11月4日にある国立大学協会の総会で説明する方向で調整している。

 現行のセンター試験はマークシートによる選択式だが、今の中学2年生から対象になる新テストの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は思考力を重視し、国語と数学の一部で記述式問題が導入される。大学入試改革を議論する文科省の専門家会議が今年3月の最終報告で記述式の導入を提言した。

 課題になっていたのが受験生約50万人分の答案を採点する時間の確保だ。文科省は(1)高3の1月に実施し入試センターが採点(2)12月に実施し入試センターが採点(3)1月に実施し各大学が採点(国立大学協会の入試委員会が提案)−−の3案を検討していた。

 その結果、(2)は高3の授業を消化できないなど高校の反発が大きく、入試センターが採点する(1)は採点期間を十分に確保できず解答文字数や出題数が限られると分析。各大学が採点する(3)は3月の2次試験の合格発表までに採点すればよく、時間の余裕が生まれ出題の幅も広がると判断した。

 ただ、各大学に採点作業の負担がかかるため教員が少ない大学には慎重論もある。文科省は採点者の確保などの体制整備や、採点が各大学で大きくばらつかないよう一定の採点基準を示すことを検討している。私立大にも方針を説明し、新テストの利用を促す。

 新テストの英語については、4技能(話す・書く・聞く・読む)を総合的に測るため、文科省は当面、入試センターの試験と、英検など民間の試験の結果を組み合わせて評価し、最終的には民間試験に一本化する方針を示している。現行のセンター試験の英語は2技能(読む・聞く)をマークシート式とリスニングで測っている。【佐々木洋】

大学側が採用するのかどうか、不透明

 文科省が検討している大学入試改革は長年、入試の課題とされてきた「知識偏重」を改め、受験生の思考力や表現力を測る試験に転換するのが狙いだ。思考の道筋を文章で書かせる記述式の導入は「新テストの目玉」(文科省幹部)だが、採点に時間がかかるのがネックになっていた。

 各大学が出願者の答案を採点する案は一定の採点期間を確保でき、解答文字数を含め出題の幅が広がるといったメリットもあるが課題はなお多い。

 最大の懸念は既に各大学の2次試験で記述式を導入している大学や学部が、わざわざ新たな負担を引き受けてまで新テストの記述式を採用するのかどうかが不透明な点だ。受験者数の多い私立大が参加するかも分からない。

 大学入試センターは全受験生の中から出願先の大学ごとに答案を選別し送付することになるが、膨大な作業の中で紛失や漏えいの心配はないか。受験生が国公立大入試の前期と後期で複数大学を受験する場合、同じ答案でも大学によって点数に差が出る可能性があるが、それを認めるのかどうか。

 文科省は2017年度初めに具体的な実施方針を公表する予定だが、大学の負担軽減や採点基準の明確化など条件整備が不可欠だ。【佐々木洋】

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