別の患者も中毒死 連続殺人に発展か
横浜の大口病院 司法解剖で界面活性剤成分が検出
横浜市神奈川区の大口病院で入院患者の八巻信雄さん(88)が点滴に異物を混入されて殺害された事件で、神奈川県警は26日、八巻さんと同じ病室に入院していた別の男性患者1人も死因が中毒死だったと発表した。八巻さんと同様に点滴の投与を受けており、遺体から界面活性剤の成分が検出された。点滴に異物が混入されて殺害された疑いがあり、県警は連続殺人事件の可能性もあるとみて捜査している。
県警によると、新たに中毒死と確認されたのは、横浜市青葉区の無職、西川惣蔵さん(88)。13日に入院し、4階にある八巻さんと同じ病室に入っていた。点滴を受け、18日夕に容体が悪化し、午後7時に死亡が確認された。西川さんが18日に投与されたとみられる点滴袋が複数捨てられているのが見つかっており、県警は、袋に残った内容物の鑑定を進めている。
同病院の4階では八巻さんの他に18日から20日にかけて80〜90代の男女3人の入院患者が相次いで死亡。当初はいずれも病死と診断された。だが20日に死亡した八巻さんの点滴に異物が混入されていたことが判明したのを受け、県警が3人の遺体を司法解剖していた。その結果、3人のうち西川さんについて中毒死と判明した。もう一人の80代の男性と90代の女性については病死で、県警は事件との関連性はないとみている。
西川さんは寝たきりの状態で、死亡する直前まで栄養剤を含め複数の点滴を投与されていた。死亡時に装着されていた点滴は17日午前に病院の薬剤部から4階ナースステーションに搬入されたもので、八巻さんの点滴や、その他の患者の点滴と一緒に鍵のかからない場所に保管されていた。
八巻さんの遺体や投与された点滴からは、医療機器などの消毒液に含まれる界面活性剤の成分が検出されている。県警は、点滴袋がナースステーションに搬入された17日以降、消毒液が点滴に混入されたとみて調べている。使用されていない約50個の点滴袋が4階ナースステーションに残されており、県警はこれらにも異物の混入がないか調べている。【国本愛、村上尊一】