異物、消毒液と同種類 点滴に混入か
横浜市神奈川区の大口病院で入院患者の八巻信雄さん(88)が点滴に異物を混入されて殺害された事件で、八巻さんの体内や投与された点滴から検出された界面活性剤が、医療機関で使用される消毒液に含まれるものと同じ種類だったことが、捜査関係者への取材で分かった。消毒液は同病院でも使われていた。神奈川県警は院内にあった消毒液が点滴に混入された可能性があるとみて調べている。
界面活性剤は多くの種類があり、家庭で台所や洗濯用の洗剤、化粧品などに使われるほか、殺菌作用の強いものは医療機器や手指の洗浄用の消毒液に使われている。捜査関係者によると、八巻さんの死因は中毒死で、死亡の原因となった界面活性剤の成分を分析したところ、同病院に常備されている消毒液と同じ種類であることが分かった。
八巻さんの点滴は19日午後10時ごろに当直の女性看護師が交換。八巻さんは20日午前4時ごろ容体が急変し、4時55分に死亡が確認された。点滴袋は17日午前に4階のナースステーションに運び込まれた後、箱に入った状態で保管されていた。保管場所に鍵はかけられていなかった。県警は、ナースステーションに搬入されてから投与までの間に、八巻さんの点滴袋に異物が混入されたとみている。
点滴袋には目立った破れなどがなく、チューブの接続部となるゴム栓から注射器で異物が混入された可能性がある。八巻さんの死亡後、ナースステーションには八巻さんや別の患者に投与する予定だった約50個の点滴袋が残っており、県警は異物が混入されていないか確認する。
18日には、八巻さんと同じ病室に入院し、点滴を投与されていた80代の男性患者2人が死亡している。県警は2人の遺体を司法解剖して詳しい死因を調べるとともに、投与後の点滴袋に残った微量の残留物を調べている。【村上尊一、国本愛】