病院、トラブル通報せず…飲料に異物など
院長が説明
横浜市神奈川区の大口病院で入院患者の八巻信雄さん(88)の点滴に異物が混入され殺害された事件で、同病院の高橋洋一院長らが24日、病院前で記者会見し、八巻さんが入院していた同病院4階で今年、職員のペットボトル飲料に異物が混入するなど3件のトラブルが発生していたことを明らかにした。病院はいずれのトラブルも把握していたが、「院内で対処すべきだ」と考え、警察へは通報しなかったという。【藤沢美由紀】
院長らの説明によると、今年8月、同病院を退職する職員から4階で勤務する職員へ差し入れられたペットボトル飲料に異物が混入された。飲もうとした看護師が気付き、事務部長が飲料を口に含んだところ、漂白剤のようだったという。ペットボトルの上部に注射針程度の大きさの穴が開いていた。健康被害はなかった。
春ごろには、4階のナースステーションの壁に掛けられていた看護師の服が切り裂かれていた。6月には、入院患者1人のカルテ数枚が医師の机の上からなくなり、5階の看護部長の机から見つかったという。
高橋院長らは「看護師らに聞き取りをしたが、いずれも職員間の嫌がらせとして警察には相談せず、誰がやったかを特定することもしなかった」と説明した。
高橋院長は会見の冒頭、「亡くなった八巻さんとご遺族に深い哀悼の意を表する」と述べた。
入院患者が殺害されたことについては「施設職員による高齢者への虐待など、信じがたい事件の報道があるが、勤務している若い人がそうした感情を持っているとしたら理解できない」とし、事件については「警察の捜査に全面的に協力している。私は職員を信じている」と話した。