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社会保障上限超す 1400億円削減必要

 厚生労働省の2017年度予算の概算要求は、過去最大規模の31兆1217億円と、30兆円台の要求は5年連続となった。高齢化が進むことによる社会保障費の自然増は6400億円と見込むが、財務省からは最終的な増加額を5000億円程度に抑えることが求められている。今後の予算編成での調整に注目が集まる。

 主要分野別にみると、待機児童の解消に向けた取り組みに1169億円、介護サービスの確保に2兆9907億円、年金制度の運営に11兆4067億円、医療・介護連携の推進に3兆482億円、医療保険制度の運営に11兆5795億円などを要求した。

 年末の予算編成に向けて焦点となるのが、少子高齢化の進展に伴って増加を続ける社会保障費の抑制だ。昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」は、社会保障費の伸びを16〜18年度で計1・5兆円に抑える「目安」が盛り込まれた。

 「目安ではなく実質的な上限だ」(与党厚労族議員)との指摘もあり、単純に割り算すると、各年度5000億円ずつに抑える必要がある。財務省が減額を求める根拠になっている。昨年の概算要求では約6700億円だった自然増の見込みが、最終的に4997億円に絞り込まれた。医療の公定価格である診療報酬改定率が、年末の塩崎恭久厚労相と麻生太郎財務相の交渉で、マイナス1・03%で決着したことが大きく寄与した結果だ。

 来年度予算では診療報酬改定など大きな制度改正がない。「目安」を超える1400億円を、どのように削減するのか。現在、社会保障審議会で介護保険法改正に向けた議論が進む。買い物などの生活援助サービスを保険対象から外すことや収入が高い大企業のサラリーマンなどの保険料負担を増やす「総報酬割り」の導入など、介護サービス抑制や負担増などで財源を捻出する可能性もある。

 ただし、厚労省幹部は「削減できなかった額が18年度に持ち越されることも想定している」と話す。その場合、18年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定や生活保護法改正などで、報酬切り下げや生活保護基準の見直しが選択肢として浮上し、いずれも国民へのしわ寄せが不可避となる。【野田武、阿部亮介】

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