岩手 宿泊キャンセル相次ぐ あまちゃんハウスも被害

岩手 宿泊キャンセル相次ぐ あまちゃんハウスも被害
台風10号の被害で、岩手県内では観光産業にも影響が広がっています。
白い岩肌の海岸線が広がり国の名勝にも指定されている宮古市の「浄土ヶ浜」では、増水した川から流れてきた大量の流木やごみが海面や浜を覆っています。浜のそばにあるレストハウスの職員やボランティアの学生たちが4日も、朝から清掃活動に追われていますが、次々と新たな流木が流れ着き、終わりが見通せないということです。
清掃活動に参加した大学3年生の女子学生は、「細かいごみも多くて拾うのが大変です。少しでも復旧の役に立ちたいです」と話していました。

こうした中、観光ホテルでは宿泊のキャンセルが相次いでいます。宮古市のホテル「グリーンピア三陸みやこ」は台風による停電などで一時、営業を取りやめ、3日から営業を再開しましたが、今後の予約のうち、団体客など合わせて450人の宿泊がキャンセルとなりました。予約客からは、宮古市と盛岡市を結ぶ国道106号線の通行止めの影響についての問い合わせが多く寄せられているということです。ホテルでは、通行止めが長引き、内陸との行き来に時間がかかる状況が続けば、キャンセルがさらに増えるのではないかと懸念しています。
「グリーンピア三陸みやこ」の船越博之総支配人は「秋の行楽シーズンが控えているので影響は深刻だ。一刻も早く観光地や道路が復旧してほしい」と話していました。

一方、久慈市では建物の浸水被害が相次ぎ、4日も多くの人が片づけに追われていました。市の中心部にある、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケの道具などを集めた「あまちゃんハウス」も被害を受けました。先月6日にオープンしたばかりでしたが、台風の影響でおよそ2メートルの高さまで浸水し、展示品およそ300点が泥につかりました。ボランティアなどが泥を洗い落とす作業を続けていますが、再開の見通しは立っていません。
久慈市観光交流課の大芦賢一係長は「ようやく完成したばかりだったのに、1か月でこんなことになってしまうなんて、ファンに申し訳ない気持ちと残念な気持ちでいっぱいです」と話していました。

県内ではほかにも、釜石市にある世界遺産の橋野鉄鉱山で、遺跡に向かう道路が通行止めとなっているため、見学ができなくなっています。