京都観光、日本人の満足度が低下 外国人増「混雑しすぎ」
外国人客でにぎわう京都観光に対し、日本人客の満足度が低下していることが京都市の調査で明らかになった。これまで「満足」との回答は高い水準を維持していたが、2015年は初めて9割を切った。京都で「おもてなし」(心のこもった接遇)を感じた人の割合も下がっている。観光客増加による混雑悪化が要因とみられ、市も対策に乗り出す構えだ。
観光客の動向を把握する市の京都観光総合調査によると、15年の日本人客の京都観光に対する総合満足度は「大変満足」「満足」「やや満足」を合わせた割合が前年比1・1ポイント減の88・9%だった。同じ質問を続けている11年以降はずっと90%以上を維持してきたが、わずかながら下回った。
残念な点について尋ねた設問の回答では、「人が多い、混雑」が前年より3・5ポイント増の13・8%、「交通状況」が4・4ポイント増の11・4%。「観光客が増加したため、ゆっくり見物できない」「バスが混雑しすぎていて利用しにくい」といった意見が寄せられており、市観光MICE推進室は「有名な観光地は外国人の増加で混雑が増し、日本人の残念度につながっているのでは」と分析する。
また「京都滞在中におもてなしを感じたか」について、「大変そう思う」「そう思う」「ややそう思う」を足した割合は42・7%にとどまり、前年の53・8%から11・1ポイント下がった。観光客の増加に伴い、観光地や店舗で「おもてなし」を感じる機会が減っている可能性が指摘されている。
京都観光全体に占める日本人客と外国人客の内訳は不明だが、宿泊客に限れば15年は外国人客が133万人増えた一方、日本人客は112万人減ったことが明らかになっている。市は「リピーターになってもらいやすい日本人客は大変重要だ。限られた観光地に人が集中しすぎて混雑しすぎないよう、さまざまなスポットの魅力を発信して分散化を図る政策を一層進めたい」としている。
【 2016年09月04日 08時21分 】