アニソン♪広がるステージ 劇中歌ヒット、声優ライブ盛況
アニソング(アニソン)の人気が急拡大している。10~20代の若い世代を中心に幅広く支持されており、劇中の架空アイドルの声を演じる声優たちのユニットがヒットを連発。夏の野外音楽イベント「夏フェス」をはじめとするライブやカラオケなどでも勢力を広げている。
アニソンはエンターテインメントの世界で年々、存在感を強めている。かつてアニソンといえばオープニングとエンディングの歌が中心だったが、最近では劇中の登場人物たちが歌う歌もヒットにつながっている。
■声優ユニット 紅白にも出場
特に人気を呼んでいるのがアイドルたちの活躍を描くアイドルアニメの劇中歌。架空の女性アイドルグループ「μ’s(ミューズ)」が歌って踊るアニメ「ラブライブ!」は、その声優たちのユニットが2015年の「NHK紅白歌合戦」に出場したり、東京ドーム公演を行ったりして社会現象にもなっている。男性アイドルたちが登場するテレビアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズも、その声優を務める寺島拓篤、鈴村健一、谷山紀章、宮野真守らが歌い、多くのヒット作が誕生した。声優たちのライブは、ミューズを筆頭に拡大しており、大きなアリーナクラスも珍しくなくなった。新作も続々ヒットし、2016年上半期は、アニメ「マクロスΔ(デルタ)」の劇中ユニットであるワルキューレが各種ランキングで軒並み1位を獲得している。
アニソンを歌うアーティストはテレビ出演も増加の一途だ。6月には、NHK「SONGS」でアニソン特集が組まれた。藍井エイルら3組の女性アーティストが出演した。7月には、日本テレビ系「スッキリ!!」やテレビ朝日系「ミュージックステーション」でも同様にアニソンが特集され、話題を集めた。
アニメにもともと強かった東京・秋葉原や池袋に加え、これまでアニメにほとんど無縁に思えた渋谷などでも、街角でアニソンにふれる機会が増えている。街頭ビジョンを手がけるシブヤテレビジョン(東京・渋谷)によると、渋谷の街頭ビジョンでも、アニメやアニソン系のプロモーションビデオ(PV)の割合が「ここ1~2年で3割増しのイメージ」という。ぴあ総研(東京・渋谷)がまとめた15年度のチケットぴあ「お気に入り登録アーティスト」ランキングでも、アイドルアニメのユニットや声優アーティストの人気が証明されている。特に10代女性の間で強い。19歳以下の女性の間では、トップ10に入ったのはすべて声優とアニメ関連のアーティストだった。19歳以下の男性でみても、ももいろクローバーZやAKB48などに続き、トップ10の中にミューズや声優の三森すずこが入ってきている。
■夏フェスにもアニメ系参戦
音楽業界の“本丸”でも、アニソンは強さを見せている。夏フェスでは、邦楽ミュージシャンの誰しもが目指す「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」に、アニソンを歌うアーティストが多数参戦。今年は、声優の鈴木達央が率いるロックバンド、OLDCODEXなどが初出演を果たした。「サマーソニック」にはLiSA、「a-nation island」には声優アイドルグループ、i☆Risも出演した。アニソン関連のアーティストによる日本武道館での公演も増えている。海外でもイベントからソロライブまで、数多く企画されている。
このほか、高音質の音楽が手軽に楽しめるハイレゾルーション(ハイレゾ)音源の配信でも、アニソンのシェアが拡大している。最新ヒット曲から過去の名盤まで、約30万曲を取り扱う音楽ダウンロード・配信サイト「mora」でランキング上位を席巻。カラオケの世界でも同じで、アニソンのカラオケ配信曲数は11年から現在までに1.5倍に増えているともいう。
こうした状況に動きを見せ始めたのが、芸能プロダクションだ。「東宝シンデレラオーディション」など大手の募集要項にも、声優やアニソンアーティストが加えられ、ポニーキャニオン(東京・港)では声優アーティストの養成所まで設立している。
(「日経エンタテインメント!」9月号の記事を再構成。文・山内涼子、橘川有子、平島綾子)
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