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【社会】羽田第2ターミナル 国際線活用へ協議
羽田空港で全日空が国内線向けに使用している第二ターミナルビルについて、同社は国際線にも活用する方針を固め、空港を管理する国やビル運営会社などと協議を始めた。関係者が三日、明らかにした。 羽田の国際線発着回数は、東京五輪・パラリンピックが開かれる二〇二〇年までに大幅に増える。しかし、国際線ターミナルは手狭で、国内線への乗り継ぎをスムーズにする必要もあると判断した。二〇年春の運用開始を想定、ビルや直通駅の名称変更も検討する。 入国審査所の新設や関係職員の増員が実現の前提となる。国内線と交じらないよう旅客の移動経路を分ける必要もあり、ビル運営会社は大規模な改修を実施する方針。旅客への分かりやすい案内も課題となる。 現在、羽田空港の旅客ターミナルビルは「第一」「第二」「国際線」の三つある。第一は日航などが国内線向けに使用、国際線ビルは乗り入れている各社が共用している。 ただ、第二ビルと国際線ビルは約二キロ離れている。全日空同士で国際線と国内線とを乗り継ぐ場合でも、連絡バスや鉄道などでターミナル間を移動する必要があり、手続きも含めて一時間以上かかることもあった。 また、国際線ビルの搭乗口は既に飽和状態で、ビルの拡張も難しく、発着回数の増加に対応できない恐れもあった。 このため全日空は、第二ビルに二十三カ所ある搭乗口(バス搭乗口を除く)のうち、南側の七カ所を国際線用に使用する方向で検討。二カ所を国際線専用とし、残る五カ所は時間帯によって国際・国内に使い分ける方針。 全日空によると、一五年度の同社国際線は四十都市八十一路線で計約八百十七万人(前年度比約14%増)が利用。輸送実績で初めて日航を上回った。 日航は「現時点で運用変更は考えていない」としている。 ◆東京五輪に向け国際線増二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け、羽田空港の国際線発着枠が大幅に増える見通しだ。国土交通省は、これに対応するため、新たな保安設備のほか、駐機場や誘導路を整備するなど、空の玄関口の機能強化を進めている。 羽田空港の発着回数は現行の年間四十四万七千回から、二〇年までに三万九千回増え、国際線に割り振られる見通し。この受け入れのため、飛行を避けてきた都心上空を通るルートを新たに設定することで、七月に地元自治体と合意している。 国交省は、新ルートによる離着陸に必要な空港の整備も進める。接近する旅客機に滑走路の正確な位置を電波で伝える機器「ローカライザー」や進入灯を、滑走路四本のうち二本の端に設置するための調査を既に始めている。機器設置のため、一部は新たに海上に桟橋を設ける方針。 このほか、深夜に到着した旅客機や、今後増加が見込まれるビジネスジェット用の駐機場をそれぞれ整備し、国際線ターミナルから滑走路に出やすい誘導路を新設。新たなホテル建設用の土地も確保、国際線と国内線のビルを結ぶ車専用地下トンネルを増設する。 こうした中で、全日空は飽和状態の国際線ビルだけでなく、国内線で使ってきた第二ターミナルビルでも国際線を受け入れる方針を打ち出した。 早稲田大の戸崎肇客員教授(航空交通)は「乗り継ぎの利便性が向上することは望ましいことだが、本来はテロや感染症対策の観点からは一つのビル内で対応した方が効率的だ。国際線と国内線の混在によって客の動きが複雑化し、混乱が起きるような事態はあってはならない」と指摘している。 <羽田空港> 正式名称は東京国際空港。1978年の成田開港で国際線は移転し、国内線の拠点として発展した。2010年10月、東京湾を埋め立てた4本目の滑走路と、新国際線ターミナルが供用開始、国際定期便が復活した。国際線の年間発着枠は、当初の6万回から14年春に9万回に拡大。昼間便は中国や韓国が中心だったが、欧州や東南アジアに続き、今年10月からは深夜早朝に限られていた米国路線も就航する。国は都心上空を通る新飛行ルートの導入で、20年までにさらに発着回数を増やす方針。 PR情報
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