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制御棒処分、70m以深 国の管理10万年 規制委方針 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
記事を読みまして。
徳川家康は原子炉制御棒の夢を見るか?
原子力規制委員会は31日、原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、原子炉の制御棒など放射能レベルが比較的高い廃棄物(L1)の処分の基本方針を決定した。地震や火山の影響を受けにくい場所で70メートルより深い地中に埋め、電力会社に300~400年間管理させる。その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する。これで、放射能レベルの高いものから低いものまで放射性廃棄物の処分方針が出そろった。
記事を読んで誰でも思うであろう事は2点。
- 放射能レベルの高い物は300~400年保管
- その後、国が引き継ぎ10万年間保管
無論、こう言った事は門外漢である素人が口を出せる分野では無いと思う。
しかるべき知識をつけた上で十二分に議論をした上で出した結論なのであろう。
ただ、それでもあえて一言もの申したい。
それ本当に出来るの???
危ない物を10万年間保管するだけの簡単なお仕事☆
それが疑問。
すっげー疑問なのだ。
仕事でもたまにあるけど、「解決策」と「実行できる施策」は違う。
○○を△△した後、□□すればOK!
みたいな解決策。
仕事の話し合いでもよくエライ人が仰る。
大抵その通りにすると仕事の前線が混乱して、デスマーチへの一歩を踏み出す訳だけど。
もっと前の段階で喰い止められればいいけが、それには色んな力関係や政治的な思惑が絡んで来たりするから難しいのだ。
しかし、一見簡単そうに見える解決策の提案。
まるでイソップ物語のネズミの相談を彷彿とさせる提案ではないか。
「ネズミの相談」(ネズミのそうだん)は、イソップ寓話のひとつ。英語では bell the cat というイディオムになっており、「他人が嫌がる中で進んで難局に当たる」という意味である。日本語ではこの英語の言葉を翻訳した「猫の首に鈴をつける」という成句でも知られる。
あらすじ
ネズミたちは、いつも猫のためにひどい目にあわされていた。何とかしようとネズミたちが集まって相談し、その中の一匹が、「猫が来たらすぐわかって逃げられるよう、猫の首に鈴を付けよう」と提案する。皆は名案だと喜んだが、では誰が猫に鈴を付けに行くのかという段になると、誰もその役を買って出る者はいなかった。
第一の疑問として1企業が400年間も特定の施設を管理できるのか大いに疑問である。
今から (2016年現在) 400年前って言ったら1616年。
元和2年、徳川家康が没した年である。
ちなみに前年の1615年には禁中並公家諸法度が発布されている。
明治維新から148年。
黒船来航から163年。
暴れん坊将軍こと徳川吉宗が征夷大将軍に任命されてから300年。
徳川家康が幕府を開いてから413年。
原子力発電の話だったが、幕府とか征夷大将軍とか大河ドラマの様なスケールの話である。
とにかく400年ってそれくらいの年月な訳だ。
政権交代とかそんなレベルの話じゅなくて国の政府自体が変わってしまっている。
それなのに制御棒の保管とか無理。
江戸幕府に原子炉の制御棒の管理任せるとか、もー絶対無理無理。
大体400年とかもう歴史の話だし、電力会社自体残っているか解からないじゃないか。
とか思っていたら偶然にも今年創立400年を迎える企業が有ったので侮れない。
江戸の味を伝えて4世紀。
ヒゲタしょうゆ(ヒゲタ醤油株式会社)である。
1616年に銚子で三代田中玄蕃氏が、溜まり醤油の製造販売を始めた事から操業したヒゲタ醤油は1900年に宮内省御用達を拝命し、今年めでたく創立400年を迎える。
時代の変遷も乗り越え、明治維新、日清日露戦争、二度に渡る世界大戦を乗り越えて伝統の味を今に伝える同社の努力はハンパでは無い。
すごいぞ ヒゲタしょうゆ!
ホモ・サピエンスと原子力
もう400年前ですらこの騒ぎなので10万前となるともう正気を疑う地球規模の話。
社会とか歴史、というよりもはや生物の授業の分野になってくる。
年表に詳細な年月が表示される訳も無く。
その数字はウン千年単位の表示である。
因みにwikiの地球史年表では10万年前は現代人がアフリカを出て世界各地に広がった時代とされている。
現代人と言うのは無論今の人、と言う意味では無く今の人類の分類に該当する「ホモ・サピエンス」が、である。
とりあえず恐竜の時代ではないので一安心だ。
でもマンモスは居たので油断できない。
まかり間違ってマンモスあたりに使用済み燃料棒の貯蔵庫を破壊される事があっては大変な事になる。
ホモ・サピエンス(英語: Homo sapiens、ラテン語で「賢い人間」を意味する)は、現生人類の属する種の学名である。ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)などのすでに絶滅した多くの旧人類もこれに含める。ヒト属の唯一の現存種である。
マンモス (Mammoth) は哺乳綱長鼻目ゾウ科マンモス属 (Mammuthus) に属する種の総称である。
現生のゾウの類縁だが、直接の祖先ではない。約400万年前から1万年前頃(絶滅時期は諸説ある)までの期間に生息していた。巨大な牙が特徴で、種類によっては牙の長さが5.2メートルに達することもある。
10万年の間には氷河期はあるは隕石が衝突するはネアンデルタール人は絶滅するはスケールがデカすぎる。
それだけの事があるのに10万年間、国が保管するとかどうやって保障するのだろうか。
wikiではイソップのネズミの寓話を「人が嫌がる事を進んで行う」と言う意味で紹介していた。
ただ、これにもう1つ付け加えるなら「実行が不可能な提案はするだけ無駄」である。
400年、10万年と長期間にわたる保管を一体誰が保証できると言うのだろうか。
原子力規制委員会のウェブサイトより「炉内等廃棄物の埋没に係る規制の考え方について(案)」のPDFが見られるので詳細はそちらを参照したい。
放射性同位体の半減期間が尋常な長さでは無いのは知識として理解しているが、今後の管理方法が「400年以降は国が管理」ではあまりに未来への負の遺産が大きすぎる。
今回は比較対象として江戸幕府やホモ・サピエンスを出した。
実際に彼らが管理する訳ではないが、僅か400年前ですら今と価値観・社会構造・技術面で大きく変わってしまっている。
現代の感覚で戦国時代を見ると、残酷な世の中だったと思う様に今から400年経った時に「放射性同位体を地中に埋めるとか野蛮な時代だったなぁ」と思われるかもしれない。
それらを踏まえずに管理責任を未来に任せるのはあまりに無責任に思える。
まだ同規制は「案」なので今後より具体的な施策・より良い解決策が出てくる事を願うばかりだ。
それでは、また。