自動運転に「日本基準」 世界標準狙う
国土交通省が、自動運転の国際基準作りに乗り出すことが28日、分かった。自動運転は日米欧の自動車メーカーやIT企業の開発競争が激化しているが、どのような技術や規格に対応すれば安全かといった規制や基準は整備されていない。国交省は、日本の技術を背景とする国際基準を世界の標準にすることで、国際競争力を高めたい考えだ。
自動運転は、自動ブレーキなどの「レベル1」から、人が運転に関与しない「レベル4」まで難易度に応じて4段階に分類される。今回策定する基準は、アクセル、ハンドル、ブレーキを同時に自動操作する「レベル2」に対応するもの。国連の専門家会議が策定の議論を進めており、2018年にも確定する見通しだ。
国交省は、日本自動車工業会などと連携して基準の「日本案」を策定し、国連の議論を主導したい考え。17年度予算の概算要求で、自動運転の関連予算として3億4100万円を要求する。自動運転に関する基礎データの収集・分析や海外メーカーなどの開発状況を把握するなどした上で、国際基準の日本案作りを進める考えだ。
レベル2の段階では、運転の責任は運転手にある。基準には、運転手がまったく操作をしなくなるなど緊急時には路肩に自動停止したり、自動運転の間は特定のランプで周囲に知らせたりすることなどを盛り込むことが考えられるという。
レベル2に相当する技術は既に実用化されており、国内では日産自動車が、高速道路で車線変更をしない場合に限り自動走行するミニバンを発売した。ただ、普及には安全などに関する統一基準が不可欠。ドイツや米国なども基準策定の議論を進める中、主要国で基準が分かれれば開発費の膨張などを招きかねず、主要7カ国(G7)は国際基準の策定で協調する方向だ。国交省は、東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジア各国とも連携し、日本の技術や安全基準への支持を取り付けた上で、国連に提案することも目指す。
政府は20年をめどに、高速道路で車線変更や追い越しを行うレベル2の自動運転を実用化させる方針。高速道路で車線変更を行う自動運転車は、日産自動車が18年、トヨタ自動車、ホンダ、富士重工業が20年をめどに発売する計画だ。【川口雅浩】