普段はあまり降りることのない駅で下車すると、なんとなく「パン屋さん」を探してしまうのは、僕だけかしら。
たびたび一人旅をしていたころの癖かもしれない。夜行バスで訪れた早朝の見知らぬ街や、青春18きっぷでふらっと立ち寄った地方都市。何はともあれまずは食事をするべく周囲を見回すも、チェーン店では味気なく、かと言って朝や昼から個人経営の飲食店に飛び込む勇気はない。
そんなときに、一見さんでも気軽に入ってテイクアウトできるのが、街のパン屋さんなのです。豊富なメニューのなかからパンを選ぶのは楽しく、お会計のときにはちょいっと世間話をしつつ周辺の情報を仕入れて、近場の公園でパンを広げていただきます。街ごとにどことなく異なる空気を吸い込みつつ、青空の下で食べるパンのおいしいことおいしいこと。
――とまあ、今回はそういった「旅」の文脈ではないのですが、普段はあまり足を運ぶ機会のない街、六本木のパン屋さんでお昼ごはんを買って食べてきたので、ざっくりと感想をば。
小麦にこだわった、もちふわパン
このたび訪れたのは、六本木駅から徒歩1分の距離にあるベーカリー『ラトリエ・デュ・パン』さんでございます。なんちゅーか、“六本木”という字面だけで敷居の高さを感じてしまうのだけど、パン屋さんはまだ入りやすいのよね……。ギロッポンこわひ。
店舗ホームページによれば、2012年オープンという比較的新しいお店。“パン作りは、玄麦から石臼で製粉し、仕込み・成型・焼成までイチから作るオールスクラッチのお店”とのことで、パンの種類ごとに使う小麦も変えているそうな。
パンにも料理にも詳しくない自分は、店頭でその旨を読んでも「ほほー……?」などと首を傾げるしかなかったのですが。ところがどっこい、これが実際に食べてみると、びっくりするほど味も食感もそれぞれ違って驚きましてござる。なるほど、こういうことか! と。
買ったパンは4つ。ベーグルやクロワッサン、菓子パン類も気になってはいたのだけれど、自分の胃の許容量を考慮し、このくらいがベストと判断。実際、これでお腹いっぱいになりました。
まずは惣菜パン枠として、日替わりのメンチカツバーガー(300円)。
値段の割にボリューミーなカツは言うに及ばず、驚いたのはパン生地。一口食べて、普通のパンかな……? ともぐもぐしていると、カリッ。これは……胡桃パイセンじゃないですか! 胡桃の食感と香りがアクセントになって、ただでさえおいしいサクサクのカツがもぐもぐ食べられる。ランチにぴったりの一品でございました。
続きましては、アスパラベーコンカンパーニュ(200円)。
“アスパラベーコン”にホイホイされて買ったのですが、食べてみると……パンが! とてつもなく!! もちもち!!! 個人的には近年稀に見るもちもち具合で、食べ終わるのが惜しまれるほど。これはぜひとも、再訪した折にまた食べたいです。
もちもち柔らかい生地のお次は、硬いフランスパン。明太フランス(190円)です。
切れ目に挟まれているだけでなく、表面にもたっぷりとかけられた明太ソースは、なかなかに濃厚な味わい。外はカリカリ、中はしっとりのパン生地との組み合わせも最高でござる。時間をかけて硬いパンを咀嚼しつつ、明太ソースの味も楽しめる、飽きの来ないパンです。
最後に菓子パン枠として、じゅんわりはちみつレモン(160円)。
見た目はなんでもない普通のパン。ちぎって中を見てもただのしっとりパン。しかしてその実態は、一口食べれば、はちみつ・レモン・バターの香りと味が口いっぱいに広がる素敵パン。思わず「おっふぉお!?」と声が漏れるほどの優しさ&じゅんわり感。これはいいものだ……!
以上、パン生地……じゃなくて、ランチのパン記事でした。今回は自分の好みと感覚だけで選んで買ったので、次は限定商品や名物パンも食べてみたいな、と思いまする。六本木という土地の割に価格もお手頃なので、ぜひとも再訪したいところ。ごちそうさまでした!
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