国際オリンピック委員会(IOC)はリオデジャネイロオリンピックの開催中、大量のサイバー攻撃を撃退しているという。
「2012年のロンドンオリンピックのときと同様、オリンピック期間中は世界の注目の的だ。毎日、朝から晩まで、こちらのセキュリティを破ろうとする攻撃が大量に発生している」とIOC広報担当のマーク・アダムズ氏はAP通信に語った。
「いずれにせよ攻撃は年中あるが、特に今の時期は強烈だ」と同氏は続ける。
同氏によれば、IOCが受けているのは「通常の攻撃」だという。
先週には、スポーツ仲裁裁判所(CAS)がサイトへの侵入を試みる不正アクセスについて警告している。リオ大会では、オリンピック史上初めて、CASがドーピング関連事案についての判断を下すことになっている。
また世界アンチドーピング機構(WADA)は8月13日、システムがハッカーの攻撃にあい、ロシア陸上界の組織的ドーピングを内部告発したユリア・ステパノワ選手のADAMSデータベースのアカウントが不正にアクセスされたと発表した。ADAMSにはドーピング検査用に選手の居場所情報などが保存されている。
ロシア陸上女子800メートル走のステパノワ選手とその夫はロシア陸上界の組織的ドーピングの証拠をテレビ番組に提供し、その後、この問題は大スキャンダルへと発展した。ステパノワ選手は過去にドーピング違反で出場停止を受けたとの理由で、リオ五輪への参加を認められていない。
WADAは13日、ステパノワ選手のADAMSデータベースのパスワードが「不正に入手され、侵入者に同選手アカウントへのアクセスを許してしまった」と発表している。
競技会外のドーピング検査にいつでも対応できるよう、選手たちには自らの居場所情報の提出が義務付けられており、ADAMSはそうした情報の管理に使われている。何者かがADAMSの選手情報を不正に入手し、変更を加え、誤った居場所情報を検査官に送信すれば、その選手は検査を回避したという濡れ衣を着せられかねない。
ADAMSの利用者には、WADAからの正式な連絡を装い認証情報の入力を求めるフィッシング詐欺メールも届いているという。
「ADAMSの定期的なセキュリティ検査において、何者かがステパノワ選手のアカウントに不正にアクセスしていたことが判明した。さらなる不正アクセスを防ぐべく、当該アカウントを直ちにロックし、本人に状況を報告した」とWADAは説明している。
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