まさかクリントン氏暗殺促す? トランプ氏
銃所持者に「行動」促進発言として批判高まる
【ワシントン西田進一郎】米大統領選共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)は9日、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)が銃規制強化を主張していることに触れ、「銃所持者には(規制強化を)止める手段があるかもしれない」と語った。銃所持者にクリントン氏らへの何らかの「行動」を促した脅迫的な発言との受け止め方が広がり、批判が高まっている。
トランプ氏は集会で、クリントン氏は武器保有の権利を定める合衆国憲法修正第2条の実質的な廃止を望んでいると主張した。その上で、大統領に就任すれば、1人空席の最高裁判事に自身に近い考えの人物を指名するとの見通しを示し、「もしそうなれば、皆さんにできることは何もない。(銃を持つ)修正第2条の人たちには手段があるかもしれないが、私には分からない」と話した。さらに「それが恐ろしい日になるということは言っておく」と付け加えた。
米メディアはこの発言を大きく報道した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「(トランプ氏の)批判者はクリントン氏への暴力を扇動するものと解釈している」と伝え、CNNも「新たな激しい論争を引き起こした」と報じた。
クリントン陣営は「トランプ氏の発言は危険だ。米国大統領を目指す人物は、決して暴力を示唆すべきではない」との声明を発表した。これに対し、トランプ陣営は「(発言は)結束の呼びかけだ」との声明を発表し、「多大な政治力を持つ」銃所持者たちに結束して支持するよう呼びかけたものだとの見解を示した。
クリントン氏は、銃購入者に対する身元調査の厳格化などを求めているが、修正第2条の廃止は主張していない。