実際、第二新卒の支援の場では多くの若者が、社風に馴染めなくて前社を辞めたという話をしています。しかし、どの程度、彼らが馴染もうと努力したかは不明瞭な部分もあります。彼らにしてみれば、「次の会社も馴染めなかった」のではいずれ応募先は限られてきます。新卒・第二新卒の頃はそれでよくても、年齢はあっという間に重ねてしまうもの。いつまでも会社がアウェイという考え方は、実は正社員から最も遠のく考え方なのです。
逆に多くの時間を残業に費やしている中堅以上の社員は、所属意識だけでなく「居場所」を会社に求めている場合があります。ただ単に家に帰りたくない場合や、家庭の中で居場所がない場合。少し早く仕事が終わっても、まっすぐに帰らずに周りを食事や飲み会に誘う上司。これらは定時に帰るトンデモ新入社員とは、正反対だと言えます。
つまり会社がホームとなっており、家や家庭がアウェイという状況なのです。実際に10年程前に私自身が会社勤めをしていた際、タイムカードは退社時間でしっかりと打刻していたものの、毎日のように深夜まで雑談をしていたり、部署の誰かを飲みに誘う上司もいました。
居心地が良い場所には長時間いることが可能です。しかしそれが惰性で「ただ、いる」というのでは誰も得をしません。個人的に付き合いのある某企業の責任者は、「自分が帰らないと周りが帰りにくいから」と、効率的に仕事を終わらせる工夫をしていると語ってくれました。
新入社員の帰属意識を高めるには
会社「も」居場所にすること
無用に会社にいたくない新入社員と、無用に早く帰りたくない上司は相容れない存在かもしれません。しかし、新入社員の場合は、今後の働き方によってその意識も変化する可能性があります。
チームで仕事をする、実際に会社のサービスが役に立っている場面に遭遇する、いずれ後輩や部下ができる。仕事の中にあるイベントが所属意識を変えるかもしれません。