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就職できない若者の「トンデモ言動」

なぜイマドキ新入社員は定時で即帰ってしまうのか

櫻井樹吏 [キャリアコンサルタント]
【第61回】 2016年8月10日
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 実際、第二新卒の支援の場では多くの若者が、社風に馴染めなくて前社を辞めたという話をしています。しかし、どの程度、彼らが馴染もうと努力したかは不明瞭な部分もあります。彼らにしてみれば、「次の会社も馴染めなかった」のではいずれ応募先は限られてきます。新卒・第二新卒の頃はそれでよくても、年齢はあっという間に重ねてしまうもの。いつまでも会社がアウェイという考え方は、実は正社員から最も遠のく考え方なのです。

 逆に多くの時間を残業に費やしている中堅以上の社員は、所属意識だけでなく「居場所」を会社に求めている場合があります。ただ単に家に帰りたくない場合や、家庭の中で居場所がない場合。少し早く仕事が終わっても、まっすぐに帰らずに周りを食事や飲み会に誘う上司。これらは定時に帰るトンデモ新入社員とは、正反対だと言えます。

 つまり会社がホームとなっており、家や家庭がアウェイという状況なのです。実際に10年程前に私自身が会社勤めをしていた際、タイムカードは退社時間でしっかりと打刻していたものの、毎日のように深夜まで雑談をしていたり、部署の誰かを飲みに誘う上司もいました。

 居心地が良い場所には長時間いることが可能です。しかしそれが惰性で「ただ、いる」というのでは誰も得をしません。個人的に付き合いのある某企業の責任者は、「自分が帰らないと周りが帰りにくいから」と、効率的に仕事を終わらせる工夫をしていると語ってくれました。

新入社員の帰属意識を高めるには
会社「も」居場所にすること

 無用に会社にいたくない新入社員と、無用に早く帰りたくない上司は相容れない存在かもしれません。しかし、新入社員の場合は、今後の働き方によってその意識も変化する可能性があります。

 チームで仕事をする、実際に会社のサービスが役に立っている場面に遭遇する、いずれ後輩や部下ができる。仕事の中にあるイベントが所属意識を変えるかもしれません。

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櫻井樹吏 [キャリアコンサルタント]

1980年生まれ。大手通信会社の人事部、総合人材サービス会社の若者専門コンサルタントを経て独立。
2010年から500名を超える若者を支援し、年間のカウンセリング数は1200回を超える。 独立後は若年者、主婦の再就職、雇用支援機構や公共事業の講師・コンサルタントを中心に活動中。ホームページ:http://www.sakuraichirin.tokyo


就職できない若者の「トンデモ言動」

一部の若者が大量の内定をもらう一方で、ある一定数の若者は1社も内定をもらえない――。そんな現実が今の就職市場にあります。そんな就職難の実態を景況感のせいにしてしまいがちですが、実は内定をもらえない若者には特徴があります。それは、彼らが「トンデモない言動」をすることです。この連載では、3年間で450人ほどの就職できない若者を支援してきたキャリアコンサルタントの櫻井樹吏さんが、彼らのトンデモ言動の中身と、そんな彼らがどう就職していったのかをお伝えします。

「就職できない若者の「トンデモ言動」」

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