米加主導によるロシアのリオ五輪締め出し運動に二分されるスポーツ界
2016年07月17日 12:17 発信地:ロサンゼルス/米国
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【7月17日 AFP】リオデジャネイロ五輪の開幕が近づくなかで、北米の2か国が中心となったロシアの締め出し運動が、世界のスポーツ界を二分している。
2015年に国家ぐるみの薬物違反が明らかになったロシアでは、すでに陸上選手が国際大会の出場を禁止されているが、米国やカナダを筆頭とするいくつかの国は、ロシア代表選手のリオ五輪出場を完全に禁止すべきだとする活動を展開している。
米国やカナダの反ドーピング機関は先日、ロシアのリオ五輪出場そのものを禁止すべきだとする書簡を国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長に送付。さらに、世界反ドーピング機関(WADA)の選手委員会議長で、IOCの一員でもあるカナダのベッキー・スコット(Beckie Scott)氏が、この書簡に対する支持を訴えるメールを各国の選手に送ったことも明らかになっている。
こうした動きの背景には、18日に公表が予定されている「マクラーレン・レポート」の存在がある。これは、カナダ出身のリチャード・マクラーレン (Richard H. McLaren)氏が中心となって行った調査の報告書で、モスクワ反ドーピングセンター(Antidoping Centre Moscow)の元所長、グリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏が、2014年のソチ冬季五輪でもロシアが国家ぐるみのドーピングを行っていたと暴露したことを受け、調査が開始された。
欧州五輪委員会(EOC)会長のパトリック・ヒッキー(Patrick Hickey)氏は、こうした動きに「ショックを受けた」と話し、スコット氏の行動に警戒感を示している。ヒッキー氏によれば、書簡にはすでに、欧州の少なくとも3か国の反ドーピング機関が支持の署名を行っているという。
ヒッキー氏は、米国やカナダが中心となった活動に「かなり大きなショックを受けたし、心配している」と話しており、「私が心配しているのは、何らかの証拠が示される前に意見をまとめようとしていることだ」と続けた。
「マクラーレン・レポートの公表を前に、このような介入や要請を行うことは、国際基準の公正な法的手順に対する明らかな違反であり、場合によっては、この重要な報告書の品位、さらには信頼性を完全に損ないかねない」