成長してもマネジメントは変えない

組織に不可欠な違和感と納得感

組織が大きくなるにつれて、起業当初のやり方が通用せずに、壁にぶつかる企業は多い。2000年に十数人で創業したオイシックスは、現在、205人の正社員と500人ほどのパートやアルバイトを抱える規模にまで成長した。企業の成長に合わせて変えるもの・変えないものは何か。同社代表取締役社長の高島宏平氏に伺った。
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2016年8月号より、1ヵ月の期間限定で全文を公開。

順調に成長した実感は一度もない

高島宏平(たかしま・こうへい)
オイシックス 代表取締役社長
インターネットなどを通じて、お客様に安心安全な食品を販売するオイシックスの代表取締役社長。2000年6月に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念として設立し、2013年3月に東証マザーズに上場。その他、2007年に世界経済フォーラムによるYoung Global Leadersの一人に選出される。同年、NPO法人の「TABLE FOR TWO International」の理事に就任。そして2011年3月の大震災後には、一般社団法人「東の食の会」の発起人として復興支援活動を精力的に実施している。2016年「NPO法人越後妻有里山協働機構」の副理事に就任。

編集部(以下色文字):起業当初は成長の波に乗ることができても、規模を拡大するにつれて当初の戦略では成長の限界を迎えるケースがあります。貴社の場合は、起業後に「成長のレール」から外れてしまうことはありましたか。

高島(以下略):正直に言えば、昔もいまも成長のレールに乗っている実感はまったくありません。だから、成長のレールから外れているという実感もない。そもそも、私には「レール」という発想がないのです。

 レールは、前に通った人がいる道です。しかも、レールに乗っている限り、自由に好きなところに行くことはできません。私も含めて起業をする人は、人の通った道を通りたくないと考える人、あるいは人の通った道を通ることが極めて苦手な人だと思います。

 そのうえで、起業時にイメージしていた「成長曲線」と実際の成長の乖離が大きく、これはまずいと思った経験は何度もあります。先ほどの「レール」とはニュアンスが異なりますが、自分たちの想定する方向性とイメージする成長スピードがあります。ところが、なかなかその通りにうまくいかない。順調に成長してきたという実感はなく、むしろ常にギャップがありました。

 そのギャップを埋めるために、現在の努力を最大化しつつも、そもそも努力の方向性が間違っていないか、戦略の方向性が正しいかを常に考え続けてきましたし、いまもそれは変わっていません。

つまり、軌道修正の連続だったと。

 そうです。たとえば、2011年の東日本大震災の後、お客様がいっきに増えた時期がありました。その要因は、いち早く食材の放射性物質検査を導入し、食の安全性を徹底的に担保したことが背景にあります。対応が非常に早かったため、私たちの想定を超えるスピードでお客様が増えたのです。

 ところが、ある時期を越えるとお客様が増える一方で、もうそろそろ放射性物質は大丈夫と判断されてオイシックスから離れていくお客様も増加しました。成長の勢いが鈍化したのです。その状態で、同じことをやり続けるだけでいいのか、自問自答を繰り返しました。たしかに、食の安全の担保という意味で放射性物質検査は非常に大事なので、いまでも検査は続けています。しかしながら、それが優位性にはつながらなくなってきた。お客様が困っていることが変わったという感触を得たのです。

 食の安全性に対する関心は震災直後に比べ薄れてきましたが、その一方で女性が忙しくなり、調理時間を短くしたいという「時短」に対するニーズが上がってきたことを感じました。そこで、その問題を解決する商品やサービスをつくったことがお客様を増やすことにつながり、別の軸で成長を続けることができたのです。

新しい方向性を探るタイミングはどのように図っていらっしゃいますか。まだ大丈夫だろうという油断や、気づいた時にはすでに遅すぎたという判断ミスもあると思います。

 おっしゃる通りです。数字的なデータを見てからの判断では、ちょっと遅いかもしれません。私が大事にしたのは、直感的なものです。それを磨くために、1週間に数百件届くお客様の声のシャワーを浴び、加えて、少なくとも月に1回はお客様のご自宅におじゃますることを続けています。

 たとえば、「放射性物質は心配ですか」という質問に対し、お客様が比較的冷静に「心配です」とおっしゃる場合と、語気を強めて「すっごく心配です!」とおっしゃる場合があります。試しに新しいサービスをお見せした時も、淡々と「これはいいですね」と反応される場合と、心の底から「これはすごくいいですね!」と反応される場合があります。

 同じお客様に聞いているわけではありませんが、お客様の「テンションの変化」を大事にしています。変化を直接感じることで、直感的な判断につなげているのです。

 それとともに、実行するアイデアについてもお客様に直接ぶつけることを大切にし、反響が強いものを採用していくことにしています。ただ、反響が強くてもビジネスとして儲からないものもありますし、現状の技術では実現できないものもあります。反響の中から実現の可能性を判断して、これなら実現できる、これを実現できたらお客様に喜んでいただけるものを具体化していくアプローチが中心になります。

 アイデアを顧客にぶつけ、反響の強いものを選んで実行するプロセスは、起業当初も規模が大きくなった現在も変わっていませんか。

 プロセスはかなり似ています。そもそも起業当初のオイシックスの中心メンバーは20代前半の独身男性ばかりで、料理をするメンバーもいませんでした。食についての知識がまったくないばかりか、生活者から最も遠い位置にいた連中ばかりです。自分たちの直感で物事を決められないのは明らかで、お客様に聞くしかないということは起業当初からわかっていました。

 私たちの社名も、30代の女性30人にぶつけてみたら、25人ぐらいの方が「オイシックス」がいいと言ってくださったので、それにしたほどです。その意味では、起業当初からかなりの部分でそうしたアプローチをしていました。

 ただ、当時は選択肢の幅は狭かったです。基本的に、いま進んでいる道を進むか、途中で倒れるかどちらかしかなかったからです。道を間違えた時にはピボットして軌道修正するのが当たり前ですが、当時のオイシックスが持っていた資金を考えると、ピボットしているうちに倒れてしまうことは明白でした。前に進むか途中で倒れるかしかない中では、方向性を大胆に見直す余裕はありませんでした。戦略的に選択肢を考える余裕ができたのは、起業から7、8年経った頃だと思います。

異質な人が増えるほど、
一体感は生まれる

 規模が拡大すると、多様性が高まり、一体感を生むのが難しくなると思います。組織が大きくなったがゆえのジレンマはありますか。

 そのご質問には、「同質性」と「異質性」という概念でお答えしましょう。規模の大小を問わず、異質な人が集まっているほうが一体感を出しやすいと思っています。

 人は、自分とは異なるタイプの人とコミュニケーションしているほうが、活性化する性質があると思います。競技は何でもいいですが、団体スポーツのチームを考えてください。足が速い人、腕っぷしが強い人、戦略に長けている人などさまざまなタイプが混在しているほうが強い。それは異質性があるからです。異質な人たちに一つの目標を与えることで、一体感が生まれるのです。

 反対に、同質性の高い人たちが集まると、考え方が似ているため「普通に考えるとそうだよね」という結論になりやすい。化学反応は起こらず、一体感が出しにくいのです。

 たとえば大学時代を思い返してみてください。同じ学部に所属している学生に、一体感はあったでしょうか。おそらく、なかったと思います。だからこそ、一体感をつくるために異質な人を入れて化学反応を起こしたほうがいいのです。

「組織」と「人体」は似ていると、私は常々考えています。人体にワクチンを投与して免疫力を上げるように、異質な人を組織に入れることが「チームの免疫力向上」につながります。

 異質な人が入ると、もともといたメンバーに負荷がかかります。それだけでなく、チームをマネジメントする側の負荷も上がります。人は、負荷が上がったほうが能力が出るものです。気合いを入れマネジメントしなければチームがまとまらないと思うと、マネジメント能力が上がるわけです。異質性のあるチームのほうが、同質性のチームよりもうまくいく確率が高いのは、こうした理由があるからです。

 加えて、異質性が高いほうが、チームビルディングに時間はかかりますが、できた後は一体感が出ます。そのため、実行スピードも速いのです。

 意外に思われるかもしれませんが、起業時からオイシックスは同質性の低い人たちの集まりでした。大きく分けると3つのグループがあり、学生、マッキンゼー・アンド・カンパニーの卒業生、そして、この二つよりも年齢が高い商社出身者です。起業志向が高い人ばかりではなく、口説いて参画してもらったメンバーもいました。

 それぞれのグループの人をごちゃ混ぜにして、メンバーを異文化の中に放り込んであげたことで、同質性の中では出なかった力が出たのかもしれません。

 異質性があったほうがいいという考えは、企業がどの成長のフェーズにあるかとは、関係しますか。

 いいえ、常に異質性はあったほうがいいと思います。企業規模との関連で言うと、異質性をリアルに感じられる最大の単位は10人ぐらいだと思います。10人であれば、それぞれの個性に目を配ることができるからです。しかし、50人を一つの単位にしてしまうと、全員のことがわからないので一体感は芽生えにくい。その時は、50人のチームを一つつくるのではなく、10人のチームを5つつくることで組織は活性化します。

 組織の成長に合わせて、マネジメントを考える際のポイントは、規模が大きくなっても、規模が小さい状態をいかにして保つかというところにあると思います。規模が大きくなったら、マネジメントを変えるという発想はありません。起業したばかりの頃、「サークルみたいな雰囲気だね」「学生みたいだな」と言われることが多かったです。それが、十数年経過して規模が大きくなり、メンバーも年齢を重ねてくると、そんなふうには言われなくなってきます。

 私は、そこに危機感を覚えます。起業当初と変わらず、小さい単位をつくって「サークルみたい」「学生みたい」といわれるような組織を継続していくのが、マネジメントとして気をつけるべきポイントだと思います。そこに異質性が存在することも重要です。人事異動を頻繁にやったり、その人の得意分野ではないチャレンジをしてもらったり、さまざまな仕掛けで異質性をつくっています。

一体感のあるチームをつくることが
自分の仕事

 起業当初の段階と、ある程度の規模になった段階とでは、同じ異質性を担保したとしても、出てくる成果の質に違いはありますか。

 成果の質に違いが出るかどうかは一概にいえないと思います。なぜなら、成果の質を左右するのは、「異質性によって一体感が生まれているかどうか」によるところが大きいからです。

 一体感があっても、成果が出ないことはあります。戦略が間違っていた、そこにマーケットがなかったなど、理由はさまざまです。しかし、一体感がないチームが、成果を出すことはまずありません。

 同じ異質性を担保しても、成果が出ていない場合には、一体感のあるチームがつくれているかどうかを、まずは考えるべきです。

 起業当初と現在とを比べると、一体感のあるチームは、昔のほうが簡単につくれました。すべてのチームに目が届いていましたし、ここで失敗したら会社が消滅するという危機感を全員が共有していたからです。しかし、いまは組織の中に数多くのチームがあって、そのうちの一つが倒れても会社は消滅しません。かつてと同じレベルで一体感のあるチームにしていくのは、いまのほうが難易度が高くなっていると感じます。

 複数のチームになると、かつてのように高島さんがすべてのチームを把握するのは難しいと思います。

 その通りです。いまは「チームをつくる人」をつくることが私の仕事になっています。私の場合は、育てようと思った人のプロジェクトの現場に入って二、三年かけて育てます。プロジェクトで成功したり失敗したり、彼の部下が辞めたり辞めそうになったけれども戻ってきたり、さまざまな場面を本人と並走し、成長した段階でチームを任せるようにしています。
 これは難しいミッションというより、時間をかけなければならないミッションだと思います。もっと短縮したいとは思っていますが、いまのところこれが最短です。

このやり方は、社員が1000人規模になった場合でも同じでしょうか。

 現在よりもさらに規模が大きくなった場合には、「チームをつくる人」をつくる「仕組みづくり」に着手するでしょうね。

経営者ご自身が現場に入って人とチームを育てるケースは珍しい気がします。

 最終的には、その人に力を発揮してほしいと思っているからです。基本的に、経営手法については数多くの本が出ていますし、それを読めば何をやるべきかはだいたいわかるものです。

 そのうえで重要なのは、どの分野に立脚した経営者であるかということです。技術に立脚している経営者なのか、オペレーションに立脚している経営者なのか、財務に立脚している経営者なのか。経営者の皆さんは、それぞれの得意分野に立脚して経営を進めていらっしゃると思います。

 私は、人とマーケティングが好きなので、この点に立脚して経営するしかないと思っています。財務や技術はよくわかりません。もちろんわからないなりにやりますが、やはり自分の得意分野に立脚して経営するしかないのです。自分の得意ではない分野は、その分野に秀でた人を連れてくればいい。

 私がわからない分野に長け、本当に優秀だと思った人に対して、私は徹底的に「ストーキング」します。偶然を装って飲み屋に押しかけ「ご縁がありますね」としらじらしく言うことも平気です。そういうことに対してこだわりはありませんし、優秀な人と仕事をするぜいたくを味わいたいと思っているのです。

 優秀な人は活躍する場所がなければすぐにどこかへ移ってしまうので、会社のリソースを使って活躍する場所をつくらなければなりません。環境づくりにリソースを投じられるのは、規模が大きくなったメリットです。

 私は焦って結果を求めるタイプではありませんが、本人のほうが結果を出そうと焦ってしまいます。しばらくは伴走し、「長い目で見ているから安心して仕事をしてほしい」と伝えることも大切です。

 優秀な人は、結果を出そうと、自分の得意分野でアウトプットすることを急いでしまいがちです。しかし、優先すべきはアウトプットではなく、インプットです。新しく参画したチームのメンバーや、企業理念についてインプットをして理解しようと努めることを優先するほうが、結果うまくいきます。

 加えて、優秀な人を社員が受け入れる状態になっているという、社員側の器量も関係してくると思います。

違和感が受け入れられるためには
「納得感」が必要である

 とはいえ、社員側の器量だけには任せられないと思います。もともといるメンバーの中には、新しいメンバーが入ってくることへ反発する人もいるのではないでしょうか。

 若い人はともかく、年齢が上がるにつれて嫌がる傾向はたしかにあります。自分がこの会社をつくってきたと自負している人ほど、その傾向は強いかもしれません。

 そんな人には、あえて「異質なメンバー」をぶつけるようなこともします。

「君たち二人で、来週までにこのテーマでリポートを出して」

 そんな指示を出すのです。異質なメンバーと、もともといるメンバーが協力しなければならない環境をつくり、私が共通の敵になることによって、逃げられない状況に追い込んでしまうのです。

 前からいたメンバーを巻き込んで、新しい異質なメンバーも生きられるような土壌をつくる。両面から仕掛けを施していらっしゃる。

 そうですね。異質なメンバーを入れる時は、納得のプロセスが必要です。新しく入ってきた人が新しい仕事に就くことを、時間をかけてでもみんなが納得できるようなプロセスを設計します。納得感のないまま、いきなり受け入れさせるような真似は極力しないようにしています。

 いきなり二人でリポートを出せというケースでも、納得感を得られるのでしょうか。

 もちろんです。二人でつくったリポートが評価されれば、異質なメンバーと一緒にやるとパフォーマンスが上がるという納得感が残るからです。

 その人を使って成果を出すことが会社にとってプラスになり、自分にとってもプラスになるという納得のプロセスです。一度でもそういう経験をすると、多くの場合は受け入れられるようになります。

事業がうまくいっている時のほうが、より納得感を醸成しやすい、というような傾向はありますか。

 そういうわけでもないと思います。むしろ、事業がうまくいっていない時に優秀な人が来れば、救世主のように見えることもありますから。

 新しく優秀な人が入ってきたことで、チームがよくなって給与が上がったり、いままでより早く家に帰れるようになって自由な時間が増えたり、最終的にはそうした経験を積み重ねていくしかありません。外から来た船長によって、以前よりもよい状態になった社員が増えていけば、おのずと受け入れられるようになってくると思います。

 マネジメントの負荷がかかっても、異質性を、起業当初から重視し続けていらっしゃるのですね。

 仕事ができる外部の人は、その人独特のスタイルを持っているものです。そのスタイルは、多くの場合、オイシックスのスタイルとは違います。仕事の進め方が違えば、その人たちの仕事の進め方を学ぶことができます。場合によっては仕事の進め方をめぐって喧嘩になってしまいますが、お互いに相手をリスペクトすれば、お互いに学ぶところが大きいと思います。

 あらゆるチームには、常に足りないところがあるものです。それを補える人材は、そのチームにとって強烈な「違和感」になりますし、それがチームの成長の限界を押し上げるきっかけにもなります。

 だから私は、そういう人を好んで入れています。

変わらないのは
「社会に必要とされたい」という思い

 最後に、ここまで成長してこられた最大の成功要因は何だったと思いますか。

 私には「ここまで成長した」という実感がありませんし、これからも持つことはないかもしれません。その前提であえて言えば、「モチベーションの持続」が大きな要因になったと思います。

 新しいビジネスは、だいたい失敗します。自分の仕事も、だいたい徒労に終わります。さまざまなことをやっても結果が出ず、むしろ以前より悪くなってしまうこともあります。そんな大量の失敗の中に、たまたま小さな成功を紡いでいくことで会社が存続していく。それが現実だと思います。

 その時に大事なのは、経営者として会社の舵取りをする私自身だけでなく、社員みんなのモチベーションだと思います。モチベーションが高ければ、ある程度の失敗には耐え続けることができます。仕事を続けることさえできれば、たくさんの失敗はあっても成功する確率も高まってくるはずです。

 オイシックスの場合、最大のモチベーションは「社会に必要とされている」という実感です。起業当初から異質性が高い組織だと申し上げましたが、メンバーたちが共通して持っていたものもあります。それが、自分たちが頑張ったことが社会に役立つことであると実感したいという思いです。

 成功が続いて元気がいい時はともかく、失敗すると元気がなくなります。お客様の役に立ちたい。その思いが、失敗しても次のことを頑張ろうというモチベーションにつながるのだと思います。

 この会社が大きくなることが、社会にとっていいことだというところに自分たちのドメインや企業理念を置いていたことは、非常に大きかったと思います。

 企業が大きくなる中で、社会性とビジネスモデルの両立はオイシックスが変えない重要なポイントになっています。儲かるけれども社会的な意義がないビジネスはやらないというスタンスは変えません。それをやり始めるとモチベーションを維持できず、短期的に儲かっても長期的に成長し続けられなくなるからです。

 これからさらに人も増え、事業も拡大していくと思います。今後も事業を成長させるために、いま足りないと思われる部分があれば教えてください。

 答え方の難しい質問ですが、正直に申し上げると、短期的な課題に対しては足りないものはありません。常にいけると思っています。すごい人材が集まっていますし、社会からのニーズも強く感じています。そのニーズに対する戦略もあるので、現状で足りないものはありません。むしろ、足りない状態を経営者が自覚しているほうがまずいと思います。足りないと思っているなら、足りるようにやりなさいよという話です。

 しかし、長期的に増える新しいチャレンジについては、「異質なメンバー」というワクチンを投与して準備をしていきたいです。

 本日は企業の組織づくりについて話しましたが、来年のいま頃同じ質問をされたとしたら、同じような答えをするかどうかはわかりません。場合によっては、今日答えてきたすべての質問に対してまったく違う答えを返すかもしれません。

 私を含め、経営者は常に考えています。考えるということは、現状を維持するためではありません。常に成長を考え、変わるために考えているのです。その繰り返しが、企業のフェーズを押し上げていく要因になるのです。

 

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