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彼の名前 作者:みなっち

第二章 文鳥

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第五話 誤解をといて

 私は今、すっかり慣れ親しんだM大学に来ている。文太君に”デート”の日のことを謝りに来たのだ。昼は学食にいるっていってたけど……。
 ――……あ、いた。……あれ、文太君、森田さんと話している。
「おーい、文太。」
「……はあ。来た来た。」
「お前さ、この間のノート助かったわ~~~!文太のくせにやるじゃん!」
「おれだからやるんじゃん。」
「教育科学のさ~レポート頼むよ~~。明日までなんだけどさ。ほら、俺、文化祭実行委員で忙しかったじゃん?暇かつ、がり勉の文太君にやってもらいたいワケ。」
「はあ?明日まで?ちょっと明日は時間ないな。」
「んだよつかえねーな。中村に頼むか。」
「…………。お前、何しに学校来てんだよ。人にレポート書かすためかよ。くだらねーな。クズがしねよ。」
「おいテメェ!!!調子にのってんなよ!!!!」
「調子にのってんのはどっちだよ。つーかうっせぇから、すぐ大声だすなよ!」
「テメェも声でけーだろうが!」
 まずい。二人が言い合いになり、ちょっと騒ぎになってきた。
「ちょっと!!先生呼びますよ!!!」
 私が仲裁すると、森田は舌打ちをして去っていった。意外と簡単に引き下がってくれるんだな……。
「文太君!」
「……。」
「あっちょ、ちょっと待って……!(うわー怒ってる!)」

 食堂から外に出ていった文太君を追いかけた。
「文太君!」
「あの場にいたら注目、集めると思って。」
「あの……。怒ってる?この前の、デートの事……。」
「怒ってないけど、すっごく傷ついて腹立っただけだよ。」
「怒ってる!」
「彼氏いないって言ったのにさぁ。」
「彼氏じゃないよ!いとこの楓。ひとつ上で、家の事情で中学上がるまで一緒に住んでたの。兄みたいな感じかな。」
「へーー。」
 必死で説明するも、文太君は胡散臭そうにこっちを見てる。信じてない!
「信じるよ。カナって、嘘つくような人じゃないと思うから。すっげームカついただけだから、気にしないで。」
「気にするよ……!」
「確かに、血は繋がってるんだろうなって思うよ。雰囲気似てるよね。肌とか髪の色とか。」
「あ、やっぱり。よく言われる!」
「で、デートいつ行く?」
「待って!脈略はどこいったの!」
「カエデサンの話になりそうで腹が立ったから、話を無理矢理変えてみた。どこか遊びに行こうよ。仕切り直し。ほらほら、友達ってこういうのするでしょ?」
 文太君の機嫌がコレで直るのなら……まあ、遊びに行くのはいいかな。文太君の事もっと知りたいし。そう、もちろん友達としてね。
「ていうか、そうだね。おれもごめんね。ちょっとぶっとばしすぎたかも。友達、としてヨロシク。カナサン?」
「……あ、えっと……よろしく……?」
 仲直りできたのかな、コレ。

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