参院選 アメリカの受け止めは

参院選 アメリカの受け止めは
k10010590441_201607110655_201607110656.mp4
参議院選挙の結果についてアメリカ政府はこれまでのところ公式の反応を出していません。ただ、オバマ大統領と首脳会談を重ね、関係を構築してきた安倍総理大臣が、安定した政権基盤の下、引き続き指導力を発揮し、日米同盟を一層強化していくことに期待しているものとみられます。
そして、アジア重視政策を進めるオバマ政権としては、新たな日米防衛協力の指針ガイドラインや、安全保障関連法に基づいて、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などに対し、日米で結束して対応していきたい考えです。
さらに世界経済が不透明感を増していることから、持続的な成長に向けて安倍政権が構造改革などを進めることに期待しているものとみられます。
一方で、アメリカ政府は沖縄選挙区で、島尻沖縄・北方担当大臣が野党各党が支援した候補者に敗れたことを受けて、アメリカ軍普天間基地の移設計画に影響が出ないかどうか注視しています。また、憲法改正を巡っては今後の議論の行方を見守る考えです。

メディアは

参議院選挙の結果について、アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は10日付けの電子版で、「大統領選びを巡り、有権者の激しい感情が渦巻くアメリカや、国民投票でEU=ヨーロッパ連合から離脱を決めたイギリスと違い、日本の有権者は現状維持を選んだ」と伝えました。そのうえで、「多くの有権者の目には民主党政権の失敗が今も焼き付いていて、選択肢がない状態だ」とも伝えています。
一方、「ウォール・ストリート・ジャーナル」は自民・公明両党と、おおさか維新の会など憲法改正に賛成する政党の合計が参議院全体の3分の2をうかがう情勢だと伝え、「長い間目指してきた憲法改正に向けて、安倍総理大臣の力を強めた」と指摘しました。しかし、今後の見通しについては「連立相手との間で憲法をどのように改正するかについて合意が得られておらず、当面は経済政策が優先されるだろう」と伝えています。

専門家は

日米関係の専門家で、アメリカ外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員はNHKのインタビューに対し、「憲法改正は日本の国民が決めることだ。アメリカ政府は日本の決定を支持するだろう」と述べました。ただ、「もし拙速に憲法9条を改正しようとするなら少し心配だ。周辺国との関係に重大な影響を与えるだろう。透明性のある手続きを踏んで行う必要がある」と指摘しました。