いよいよ今週、LINEが値決め、上場されます。この新規株式公開(IPO)を巡る、現在の状況を説明します。
まず値決めの際、幹事証券は「相場の地合いは大丈夫だろうか?」ということを気にします。
幸い、米国株式市場は過去最高値にあと僅かのところへ肉薄しており、ムードは良いです。
英国の国民投票の材料は消化済みだし、先週金曜日の雇用統計も危なげない数字でした。
今週から米国は決算発表シーズンに入ります。今週、決算を発表する企業は、アルコア(ティッカーシンボル:AA)、CSX(ティッカーシンボル:CSX)、ヤムブランズ(ティッカーシンボル:YUM)、JPモルガン(ティッカーシンボル:JPM)などです。
これらの企業はいずれもLINEとは業種が違うため、仮にこれらの企業が悪い決算を発表しても、それがLINEのIPOを台無しにするリスクは低いでしょう。
また次の連邦公開市場委員会(FOMC)は7月27日であり、2週間以上先です。今回のFOMCでは利上げは無いというのがコンセンサスになっています。従ってFOMCに対する懸念がLINEのIPOパーティーをスポイルするというシナリオも考えにくいです。
米国のIPO市場、とりわけハイテクのIPOは、このところ極端な不振となっていました。

しかし2016年第2四半期はディールが復活しはじめています。
「投資家がIPOで儲かっているか?」という尺度で見ても、リターンは改善しはじめています。

実際、テクノロジー系のIPOでは5月12日に上場されたアカシア・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ACIA)が上場初日+34.6%、6月22日に上場されたトウィリオ(ティッカーシンボル:TWLO)が上場初日+91.9%のリターンを叩き出し、投資家のIPOに対する姿勢は前向きになり始めています。
LINEのIPOは、こうした好地合いを背景に市場に出てくるわけで、そこのところを、いつまでも(相場環境は悪い)という風に勘違いしない方が良い気がします。
LINEの場合、仮条件は2回上方修正されています。普通、仮条件のレンジが引き上げられると幹事団は需要を入れた機関投資家に「レンジを引上げますけど、オッケーですね?」と念を押す電話を入れます(=このことを「需要をサークルする」といいます。イメージとしては赤ペンで丸印をつけるという感じです)
アメリカの機関投資家の多くは、この確認の電話がかかってきたタイミングで「One for one」とか「One for two」というインディケーション(上場後の追加買い注文の意向表明)を出します。
「One for one」とは、「1万株アロケーションを呉れたら、アフターマーケットでもう1万株買い足す」という意味です。「One for two」なら「1万株もらったら、もう2万株買い足す」という意味になります。
これはある種の「あ、うん」の呼吸で、主幹事としてはアフターマーケットでLINE株を買い支えてくれる機関投資家に、より沢山のアロケーション(新規上場株の分配)を与えたい気持ちが働くわけです。
このような機微のことを「color(色)」といい、機関投資家がどれだけ本気でLINEのIPOを欲しがっているのか、その踏絵となるわけです。
主幹事の腕の見せ所は「テンパーセンタ―(10%er)」と呼ばれる、将来の安定株主となる大口機関投資家を、どの順序でがっちり配列してゆくか? というところになります。
売出した株が、これらの一握りのコアな投資家に、ガッツリ分配されるほど、アフターマーケットでのフリッパー(flippers=直ぐ売り抜ける目先筋)が少なくなり、上場後の値運びが安定するわけです。
その際、リテール(=個人投資家)のアロケーションは大幅にカットバックされます。場合によっては「シャットアウト(=ゼロむけ)」の投資家が続出するわけです。
LINEの現在の仮条件は28.5~32.5ドルで、これは日本円では2900円~3300円です。売出し株数は東京が1,300万株、ニューヨークが2,200万株なので、ニューヨークの方が多いです。
値決めは7月11日です。トレーディングの開始はニューヨークの方が先で、現地7月14日が上場日です。
日本の投資家がアフターマーケットでLINE株を購入する場合、ニューヨークで買ってもいいし、東京で買ってもいいです。ニューヨークで取引されるLINE株のティッカーシンボルはLNです。
なお7月14日のニューヨークでの取引開始に合わせて、上場直後のトレードを皆さんが狙うのであれば、日本の従来型証券ではなく、ネット証券でトレードした方が良いでしょう。
なぜならニューヨークでLINE株が寄付くのは東海岸時間11時頃であり、東京時間では深夜12時になってしまうからです。(その時間には、もう証券会社の担当者は帰宅していると思います)
ネット証券ならスクリーンを見ながらザラバに注文を入れることが出来るので、真夜中だろうが関係ありません。
なお前日に「成り行き買い」などの注文を入れる方法は、私は勧めません。なぜかというとIPOは状況によっては値決め価格の2倍とかの、べらぼうな値段で初値が生まれるケースがあり、そういう突発的な事が起きたら、資金不足で買い付け代金が払えなくなってしまう場合もあるからです。良心的な証券会社なら、IPO初日の成り行き買い注文は受け付けないはずです。
僕なら、寄付きは敢えて外し、取引開始後に最初のコーフンが冷めて、株価がタレてきたところを狙って買い注文を入れます。
もちろん、ニューヨークの取引が終わった後で、7月15日に東京マーケット(その場合のLINEのコードは3938)で買うことも出来ますが、既にニューヨークで買い進まれた後の株を、なぜそこから買わなければいけないのか、僕的には理解不能ですね。
僕なら自分の最大限の利食いチャンスを確保するために、迷わずニューヨークでトレードします。
まず値決めの際、幹事証券は「相場の地合いは大丈夫だろうか?」ということを気にします。
幸い、米国株式市場は過去最高値にあと僅かのところへ肉薄しており、ムードは良いです。
英国の国民投票の材料は消化済みだし、先週金曜日の雇用統計も危なげない数字でした。
今週から米国は決算発表シーズンに入ります。今週、決算を発表する企業は、アルコア(ティッカーシンボル:AA)、CSX(ティッカーシンボル:CSX)、ヤムブランズ(ティッカーシンボル:YUM)、JPモルガン(ティッカーシンボル:JPM)などです。
これらの企業はいずれもLINEとは業種が違うため、仮にこれらの企業が悪い決算を発表しても、それがLINEのIPOを台無しにするリスクは低いでしょう。
また次の連邦公開市場委員会(FOMC)は7月27日であり、2週間以上先です。今回のFOMCでは利上げは無いというのがコンセンサスになっています。従ってFOMCに対する懸念がLINEのIPOパーティーをスポイルするというシナリオも考えにくいです。
米国のIPO市場、とりわけハイテクのIPOは、このところ極端な不振となっていました。
しかし2016年第2四半期はディールが復活しはじめています。
「投資家がIPOで儲かっているか?」という尺度で見ても、リターンは改善しはじめています。
実際、テクノロジー系のIPOでは5月12日に上場されたアカシア・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ACIA)が上場初日+34.6%、6月22日に上場されたトウィリオ(ティッカーシンボル:TWLO)が上場初日+91.9%のリターンを叩き出し、投資家のIPOに対する姿勢は前向きになり始めています。
LINEのIPOは、こうした好地合いを背景に市場に出てくるわけで、そこのところを、いつまでも(相場環境は悪い)という風に勘違いしない方が良い気がします。
LINEの場合、仮条件は2回上方修正されています。普通、仮条件のレンジが引き上げられると幹事団は需要を入れた機関投資家に「レンジを引上げますけど、オッケーですね?」と念を押す電話を入れます(=このことを「需要をサークルする」といいます。イメージとしては赤ペンで丸印をつけるという感じです)
アメリカの機関投資家の多くは、この確認の電話がかかってきたタイミングで「One for one」とか「One for two」というインディケーション(上場後の追加買い注文の意向表明)を出します。
「One for one」とは、「1万株アロケーションを呉れたら、アフターマーケットでもう1万株買い足す」という意味です。「One for two」なら「1万株もらったら、もう2万株買い足す」という意味になります。
これはある種の「あ、うん」の呼吸で、主幹事としてはアフターマーケットでLINE株を買い支えてくれる機関投資家に、より沢山のアロケーション(新規上場株の分配)を与えたい気持ちが働くわけです。
このような機微のことを「color(色)」といい、機関投資家がどれだけ本気でLINEのIPOを欲しがっているのか、その踏絵となるわけです。
主幹事の腕の見せ所は「テンパーセンタ―(10%er)」と呼ばれる、将来の安定株主となる大口機関投資家を、どの順序でがっちり配列してゆくか? というところになります。
売出した株が、これらの一握りのコアな投資家に、ガッツリ分配されるほど、アフターマーケットでのフリッパー(flippers=直ぐ売り抜ける目先筋)が少なくなり、上場後の値運びが安定するわけです。
その際、リテール(=個人投資家)のアロケーションは大幅にカットバックされます。場合によっては「シャットアウト(=ゼロむけ)」の投資家が続出するわけです。
LINEの現在の仮条件は28.5~32.5ドルで、これは日本円では2900円~3300円です。売出し株数は東京が1,300万株、ニューヨークが2,200万株なので、ニューヨークの方が多いです。
値決めは7月11日です。トレーディングの開始はニューヨークの方が先で、現地7月14日が上場日です。
日本の投資家がアフターマーケットでLINE株を購入する場合、ニューヨークで買ってもいいし、東京で買ってもいいです。ニューヨークで取引されるLINE株のティッカーシンボルはLNです。
なお7月14日のニューヨークでの取引開始に合わせて、上場直後のトレードを皆さんが狙うのであれば、日本の従来型証券ではなく、ネット証券でトレードした方が良いでしょう。
なぜならニューヨークでLINE株が寄付くのは東海岸時間11時頃であり、東京時間では深夜12時になってしまうからです。(その時間には、もう証券会社の担当者は帰宅していると思います)
ネット証券ならスクリーンを見ながらザラバに注文を入れることが出来るので、真夜中だろうが関係ありません。
なお前日に「成り行き買い」などの注文を入れる方法は、私は勧めません。なぜかというとIPOは状況によっては値決め価格の2倍とかの、べらぼうな値段で初値が生まれるケースがあり、そういう突発的な事が起きたら、資金不足で買い付け代金が払えなくなってしまう場合もあるからです。良心的な証券会社なら、IPO初日の成り行き買い注文は受け付けないはずです。
僕なら、寄付きは敢えて外し、取引開始後に最初のコーフンが冷めて、株価がタレてきたところを狙って買い注文を入れます。
もちろん、ニューヨークの取引が終わった後で、7月15日に東京マーケット(その場合のLINEのコードは3938)で買うことも出来ますが、既にニューヨークで買い進まれた後の株を、なぜそこから買わなければいけないのか、僕的には理解不能ですね。
僕なら自分の最大限の利食いチャンスを確保するために、迷わずニューヨークでトレードします。