カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
ITは、業務効率を高めるために既に欠かせないものとなっています。また、企業の成長や競争力を維持するためのグローバル展開や新規事業への進出のためにも、ITなしでは対応できません。
このようにIT利用の範囲が広がり、その重要性が高まるほどに、災害やセキュリティへの対応も、これまでにも増して強く求められるようになりました。また、モバイルやビッグデータといった、新しいテクノロジーへの対応も、業務の現場から求められています。
そうしたIT需要の高まりとは裏腹に、企業内のITに責任を持つ情報システム部門は、2つの大きな問題を抱えています。その1つが、TCO(Total Cost of Ownership)の増大です。つまり、既に所有しているシステムの維持・運用管理、トラブル対応、保守といったコストです。その金額は、IT部門の予算の6割〜7割といわれています。
ITへの需要が高まれば、TCOが増大します。それでもIT予算が増えるのであれば、何とか対処できます。しかし、ITに関わるお金は、事業投資とはなかなか見なされず、経費として常に削減の圧力がかかっています。これが、もう1つの問題です。
業務や経営の要請に応えたくても、「所有」している既存のシステムを維持管理するためのTCOにお金が掛かり過ぎて、応えることができません。しかも、IT予算が今後大きく増える見込みもありません。そんな問題を情報システム部門は抱えているのです。
ならば、「所有」することを止め、自分たちでシステム資源の面倒を見ないようにすれば、TCOは削減できるはずです。また、クラウドで提供されているプラットフォームやアプリケーションを使えば、開発工数の削減や、場合によっては開発さえも必要なくなります。そんな期待から、いま「使用」のクラウドへの期待が高まっているのです。
もちろん、単純には「TCO削減=クラウドコンピューティング」にならないことにも注意が必要です。クラウドサービスならではの料金体系やシステム設計の考え方、運用の仕組みなどを考慮するしなくてはなりません。それらへの配慮を怠ると、むしろ割高になってしまったり、安定した性能を発揮できなかったりと、課題を抱えこむことにもなります。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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