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阿蘇地方の交通一部復旧

列車の出発の合図をする佐藤義興・阿蘇市長(右)ら=熊本県阿蘇市のJR豊肥線阿蘇駅で2016年7月9日、浅野翔太郎撮影

 熊本地震発生から3カ月近くがたち、南阿蘇村の土砂崩れなどで大きく損壊した熊本県阿蘇地方の鉄道や道路など交通インフラの一部がようやく部分再開にこぎつけたり、復旧の見通しがたったりしてきている。JR豊肥線では9日、阿蘇駅(同県阿蘇市)と大分方面を結ぶ列車が運行再開。国土交通省も通行止めとなった国道や崩落した橋の復旧計画を決めている。地域住民らからは被災地復興に弾みがつくことを願う声が上がっている。

     地震でJR豊肥線は、JR肥後大津駅(熊本県大津町)と豊後荻駅間(大分県竹田市)が不通となり、阿蘇地域は大分県、熊本市両方面への鉄路を失った状態になった。9日午前9時45分、阿蘇駅のホーム。佐藤義興・阿蘇市長が出発の合図を送り、地震後初めてとなる列車(別府行き)が動き出すと、ホームから歓声や拍手が沸き上がった。

     列車を見送った阿蘇プラザホテル女将の稲吉由紀さん(47)は「列車の汽笛の音に胸が詰まった。少しずつ日常に戻っていくのがうれしいです」と目を潤ませた。

     地震の影響で阿蘇地方はホテルなどの宿泊キャンセルが5月末までで14万7000件にのぼるなど、観光が大打撃を受けた。阿蘇市観光協会の松永辰博事務局長(52)は「まだ内牧温泉の一部で温泉が出ず、阿蘇山頂への登山道も通行止めだが、復興への一歩だ」と期待する。

     道路や橋などのインフラも復旧に向けた青写真が描かれている。阿蘇地域と熊本都市圏を結ぶルートの一つ、県道28号について国交省は先月29日に、天井などが崩落して不通になっている俵山トンネル(約2キロ)の復旧工事に着手。年内の完了を見込む。周辺の大切畑大橋(西原村)などの橋は復旧のめどが立っていないが、トンネル復旧に合わせて旧道を利用した迂回(うかい)ルートの年内開通を目指している。

     また、阿蘇地域と熊本市を結ぶ大動脈の国道57号についても、土砂崩れで通行不能となった部分を迂回する復旧ルートの整備計画を策定。現在地の北側に、約13キロの新たな道を造る。崩壊した阿蘇大橋(南阿蘇村)も元の場所より約600メートル南西に新たな橋を架け替える方針が決まった。

     観光ルートとして利用される県道28号や国道57号は地域の生活道路でもあり、国交省九州地方整備局は「道路整備計画が住民の生活を支え、地域の復旧の促進につながれば」としている。

     しかし交通インフラの全面的な復旧にはまだ時間を要しそうだ。JR豊肥線は阿蘇駅から熊本市方面については具体的な計画がまだ立っていない。高森町と南阿蘇村を結ぶ南阿蘇鉄道も6月の大雨で再び大きな被害を受け、「再開時期は未定」(同鉄道)という。【浅野翔太郎】

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