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【経済】

低迷する家計指標 街角景気、アベノミクス前に逆戻り

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 内閣府が八日発表した六月の景気ウオッチャー調査は、街角の景況感を示す現状判断指数(DI)が前月比一・八ポイント悪化の四一・二となり、安倍政権による経済政策・アベノミクス前の二〇一二年十一月(四〇・〇)以来の水準に低下した。アベノミクスが始まってから三年半。株価などは改善している一方で、家計の状況を示す指標の多くは「アベノミクス前」に逆戻りしている。 (白山泉)

 同調査は小売りや外食など景気に敏感な業種の関係者、約二千人に景況を聞いている。指数悪化は三カ月連続。賃金が伸びない中で円高株安による不安が、小売りや宿泊業の景況感を冷え込ませた。基調判断は「弱さがみられる」と四カ月連続で据え置いた。

 消費者の生活防衛傾向や節約志向を指摘する声が多い。

 レストランの幹部が「昼食を外食でなく社員食堂に切り替える人が増加している」と訴え、別の経営者も「ランチメニューなどお得感があるものに集中している」という。

 小売りでも「お中元商戦の出足が非常に良くない」(百貨店営業)、「客の購入価格帯が想像以上に下がっている」(スーパー店長)と、口々に消費者心理の冷え込みを指摘する。

 住宅販売の経営者も「業界に入って四十四年だがこれほど売れないことはない」と回答した。

 地域別では東京都が五・八ポイント悪化の三八・三で最大の低下。円高もあり訪日外国人消費が鈍化したことが影響したとみられる。

 先行き判断は前月比五・八ポイント悪化の四一・五。消費税増税直前の一四年三月以来の低水準。英国の欧州連合(EU)離脱決定が見通しを悪化させた。

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 アベノミクス前に戻るか、下回った指標は多い。消費支出は四年前より低い水準に。実質賃金指数も食品価格上昇などで、低下。生鮮食品を除く消費者物価指数は一六年五月は0・4%減と、デフレ色はアベノミクス前よりむしろ強まる。

 黒田東彦(はるひこ)総裁による金融緩和で株価は上昇、企業の景況を示す日銀短観の業況判断指数(DI)は改善。だが、賃金の伸び悩みで生活は圧迫され、家計に近い指標ほど低迷している。

 

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