【ロンドン=木寺もも子】欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国で、移民に対する差別的行為などの「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」が増えていることが分かった。8日、全国警察長協議会が公表した調査報告によると、6月後半の通報は前年同期比で42%増。同月23日に行われた国民投票の結果が排外主義を助長したとみられる。
対象期間の6月16~30日の通報は3076件に上り、国民投票の結果が発表された翌日の25日が最多の289件だった。内容は移民に対する嫌がらせや「英国を出ていけ」などの暴言、つばをはきかけるなどの行為。26日にはポーランド系移民が集まるロンドンの建物が落書きされる事件もあった。
同協議会の幹部は「ここ数週間でヘイトクライムの増加は全国的に顕著で、英国が誇ってきた多様性を損なう許しがたい行いだ」と懸念を示している。