ヤクルトの山田哲人は打撃成績を眺めているだけでも楽しい選手だ。新しい記録を打ち立てたと思ったら、また新たな記録に挑み、そして達成していく。2年前に日本人右打者としてシーズン最多となる193安打を放ち、昨年は「本塁打王」と「盗塁王」のタイトルを獲得。ちなみに、この2つのタイトルを同時に獲得したのは、プロ野球史上初めてのことだった。
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今年の春の沖縄キャンプ。杉村繁チーフ打撃コーチは山田について、「昨年、トリプルスリーを獲得して……」と言うと、次の言葉がなかなか出てこなかった。いつも歯切れよく話す杉村コーチにとっては珍しいことだった。
「今シーズン、山田はなにを目標にすればいいのか…。残っているのは三冠王や、40本塁打・40盗塁とか……とんでもない記録ばかり。ただ、山田はとんでもない記録を連れてくる能力を持ってるからね」
それから約5カ月。早いもので今シーズンのプロ野球も前半戦が終わろうとしている。ここまでの山田の成績を見てみたい。
打率.344(リーグ1位)
本塁打28(リーグ1位)
打点69(リーグ1位)
盗塁18(リーグ1位)
安打数104(リーグ1位)
※成績はすべて7月7日現在
杉村コーチが言っていた「三冠王」どころか、盗塁王を加えた「四冠王」も狙える位置につけている。もし「四冠王」を達成すれば、当然、プロ野球史上初の快挙であり、仮に「四冠王」を逃したとしても、「打点王」と「首位打者」のタイトルを獲れば、キャリアのなかで四冠を達成したことになり、これは長嶋茂雄やイチローなど偉大な選手たちでさえも果たせなかった大記録である。
さらに、史上初の2年連続「トリプルスリー」(3割、30本塁打、30盗塁)の可能性は高く、日本人選手として史上初の「40-40」(40本塁打、40盗塁)も射程圏内だ。
メジャーリーグで「40-40」を達成したのは、ホセ・カンセコ、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、アルフォンゾ・ソリアーノの4人しかおらず、いかに難しい記録かがわかる。山田の打順が4番になったことで、シーズン40盗塁がこれまでより厳しい状況になったが、そのなかでどこまで数字を伸ばせるのか注目だ。
本塁打に目を移すと、自身初の40本塁打は十分可能な数字だが、そこをクリアすれば日本人選手として史上6人目となる「シーズン50本塁打」も見てくる。その先には、王貞治氏の「シーズン55本塁打」や、バレンティンが2013年に達成した「シーズン60本塁打」という大記録があり、どれだけ近づくことができるのか。
現実的に、山田は80試合を消化した時点で28本塁打を放っており、このままいけばシーズン50本ペースとなる。ここで見逃せないのが、安定感だ。山田は、3・4月に8本塁打、5月も8本塁打、6月は10本塁打を放っており、7月もここまで2本塁打。この安定感は、杉村コーチの言葉を聞けば十分に納得できる。
「山田には『機械のようになれ』と言っています。ゴルフボールの飛び具合をテストする機械がありますけど、あれってスイングが本当に正確なんですよ。あの機械のように正確なスイングをしようと。それができれば、バットの角度、軌道が安定して、大きく崩れることはない。もちろん、機械のように1ミリのズレもなくすのは不可能なんだけど、とにかく正確なスイングをすることを心掛けてきました」
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