伊方原発再稼働の賛否 大分合同新聞社が実施した参院選の電話世論調査(3~5日)で大分県内の有権者に四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働について聞いたところ、回答者の59・5%が再稼働に否定的だった。肯定的な意見は26・1%にとどまった。大分県から最短距離で45キロにある「対岸の原発」は7月下旬にも再稼働する見通しだが、地震により重大事故が起きることなどを懸念している県民が多い実態が浮かび上がった。 調査では「反対」が最多の40・1%、「どちらかといえば反対」が19・4%を占めた。これに対し「賛成」は10・4%、「どちらかといえば賛成」も15・7%だった。「分からない・無回答」は14・3%。 反対理由で最も多かったのは「大地震による重大事故が心配」。伊方原発は南海トラフ地震の震源域の端に位置し、さらに国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」のそばにある。中央構造線の延長上で熊本・大分地震が起きたこともあり、伊方近くの断層が動いた時などの重大事故を懸念しているとみられる。次いで多かったのは「原発はそもそも危険」。さらに「安全対策が不十分」などが続いた。 賛成理由は「安定したエネルギーとして必要」が多数。「福島第1原発事故の反省を踏まえ、十分な安全対策を取った」「原発なしでは電気料金が値上がりする」―などの順となった。 伊方3号機は再稼働に向けた最終手続き「使用前検査」を受けており、既に核燃料の装填(そうてん)を終えた。四国電は今月26日にも原子炉を起動させたい考え。 一方、耐震性への不安は根強く、大分、松山、広島の3地裁では、各地の住民が運転停止を求める仮処分を申し立てている。 大分県内では愛媛県知事が再稼働に同意した昨年10月以降、沿岸部など7市町の議会が再稼働中止や再考を求める意見書を可決。別府市議会は「慎重な対応」を要望、臼杵市議会は事故時に大分も被災する可能性があるとして「周辺自治体の同意を再稼働の要件とすべきだ」などとする意見書を可決している。 【調査の方法】大分県内の有権者を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。845人から回答を得た。