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ホモがBL漫画を斬るわよ!

独特の視点でBL漫画の感想を述べていく唯一無二のレビューコンテンツ

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オススメ!!『初恋は群青に溶ける/ゆき林檎先生』―隣に居る事、居させる事―【BL漫画感想】

*感想 オススメ 高校生 ドラマ ほのぼの -ゆき林檎先生

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1年、早く生まれてくればよかった――

 こんにちは、氷太よ。

今日はゆき林檎先生

『初恋は群青に溶ける』

を頂いていくわね。

しっかしこのタイトル、ほんと良く考えたものだわ。

色々な解釈が出来て深い。

初めこの表紙を見た印象はこの「溶ける」っていう部分に切なさを感じて、いわゆる2人がくっつかない事がハッピーエンドのお話なのかと思っちゃったわね。

 

そして、BL漫画には珍しい野球要素のある漫画!

アタシめちゃんこ楽しみにしていたの。

ホモにとって野球少年の存在って、小学校低学年の子にとってのハンバーグみたいなものなのよ。*氷太の単なる偏見と浅い統計より抜粋

 

とにかく、野球・高校生・純情・トラウマ。

この4つの要素に萌えない人間なんかいないわよね!

 

以下冒頭部分の氷太の反応をお楽しみください。

 

 

1コマ目

 

おおおお!かっけええ!ピッチャーかよ!

ビバ☆野球少年!

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4コマ目

 

もう野球要素終わったのかよ・・・。

早すぎだろ3コマだけかよ・・・・。

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(注 中盤にあと3コマだけ出てきます。

 

 

「野球」という要素に関して肩すかし感半端ないのは間違いないわね・・・!

この一連の流れは吉本新喜劇の出オチ感すらあるわ・・・。

いえ、まだよ!

BL漫画に関しては恋愛要素をいかに描くのかが肝だもの!

あらすじ

野球の練習中に肩を壊し、落ち込むケンゴは、
放課後の音楽室で無愛想な生徒と出会う。
翌日、彼が同じクラスで、一度も教室に来たことがない生徒・吉岡だと気づいたケンゴは、
再び音楽室を訪れる。掴みどころがないが、
居心地のいい吉岡のもとに足繁く通うようになるが、
彼がかつてひどいいじめにあい、留年していたことを知り――。
傷ついた少年たちの再生を描く青春ラブストーリー。

こんな感じね。

でもまあコレ、スポ魂漫画じゃないから、この野球少年の肩の負傷に関してはあまり描かれていないわ。

この「再生を描く」

これがまさに主題となっているわね。

 

登場人物

ケンゴ(表紙右)×攻め

厳しい部活動のせいなのか、運悪くなのかよく分からないままいきなり肩を負傷したピッチャー。

放課後の音楽室で吉岡と出会う事になる。

ガチでイケメン&ぐう聖。RPGだと絶対に職業はパラディンだわ。

吉岡(表紙左)×受け

ケンゴよりも1つ年上だが、とある理由により留年し同じクラスに。

出席していないため、ケンゴは面識はなかったが吉岡はケンゴの事を知っていた。

いつも音楽室でピアノを弾いている。

 

感想

この漫画は恋をした事のない子と、とある出来事により恋心を抱くことのできなくなった子が接点を持つ事により変わっていくという物語ね。

特筆すべき点はその物語に沿いつつも高校生らしい、真っ直ぐな純情を見事に描いているという事に尽きるわ。

いちいち最もらしい論理解釈は極力排除されているわね。

時折挿まれる情景描写、モノローグによる心理描写も一部のみを除き秀逸。

大人の物差しで測ってしまうと明確な答えを探したり、答えを持ち合わせながら行動したりするわけではないので、重厚なヒューマンドラマとは言うことはできないけれども、沸き起こる感情に名前や答えを見つけるよりも先に行動を起こしていく。

そういった限りなく素直で実直な部分をブレず描く事で、「高校生」としての在り方を際立たせた物語になっているわね。

 

分かりやすくまとめると、この漫画は

葛藤ではなく現状の打破。

衝突ではなく寄り添う事。

ここに主軸を置いているわ。

自分にも、相手にも真摯であり続ける事が強調されており、曇り空から晴天へと移り変わるような淡く清らかな恋愛模様を展開していくわ。

短所

上記で画力に関して触れなかったのには理由があるわ。

めっちゃめちゃキレイなんだけども難がある部分があるのも否めない。

もう極端なのよね、上手な部分と下手な部分が。

基本的にはキレイなのよ、表情の作り込みとかアップであればある程キレイ。

めちゃめちゃイケメンに描かれてるもの、特にケンゴが。

だけどキャラクターの全身を描写した際の画力のレベルの低下具合と頭身がちょっと不満。

 

それと制服であるYシャツ。

これ、紙を切ってくっ付けたみたいになってるけど何とかならないのかしら・・・。

そんな全身を描写するシーンないし、物語に関わる事でもないからこれは許容範囲だけど。

 

あとは情景描写に関してなんだけど、かなり力を注いでいるのはわかるの。

実際作中でジワっと来るシーンもあったしね。

ただ些か過度というか、突拍子もないというか、そういったシーンもあったのも確かなのよ。

ちょっとネタバレになるけど、思い当たった点を記述していくわね。

・公園での転機を迎える2人に鳩が飛び交うという大事なシーン

ここ、1コマではなく静止画として見るとめちゃくちゃ良い描写。

・・・なんだけど、公園での一連の流れからでは

「その鳩どこから来たんですか!!?」

と正直なってしまうわ。

もうちょっと細工が必要だったわねえ・・・。

何気なく鳩が歩いている部分を背景にでも入れておくとかさ。

「うおおおお!・・・・お?」ってなってしまうワンシーンね。

 

あとここが1番残念だったんだけど・・・。

図書館で過ごす2人のシーン

ここで吉岡が初めて自分から1歩を踏み出す事になる超重要な部分を情景描写によって描かれるんだけど、背景・コマ割・そして今までの流れ、どれをとっても完璧だったんだけど肝心の2人の・・・っていうか吉岡の造形が完全にアウト。

話の流れから何をしたのかは明確なんだけど、実際に絵から読み取れるのはケンゴの頭を踏み台として三転倒立しようとしている風にしかアタシには見えない。

ちょっとアタシの言っている意味が分からないでしょう?

これ、読めば分かるわよ。

物語の1番の山場のこのシーンが一気にシュールに見えてしまうの。

描きにくいアングルなのはアタシでも分かるのよ。

でも正直ここ、妥協しちゃったでしょ?と言わざるを得ないわねえ・・・。

 

 

あとはまあ、ケンゴが友人とじゃれててパンチを軽く手の平で受けてたはずが、いきなり吹っ飛んだように体勢を崩して吹っ飛んだりとか、よく漫画で見かける「クスクス」笑ってるシーンがマジで「クスクス」と言っているだけにしか見えないとかあるんだけど、まあこれらは物語のテンポをちょっと崩しているだけに過ぎないかな。

発展

愛を確かめるような濃い描写というよりは傷を覆い隠すような優しい描写でこの物語にピッタリね!

結構少なめなんだけど、アタシは大満足でした!

 

まとめ 

アクセントを付け加える一部シーンの情景描写を凝って演出したために首を絞める結果になってしまった残念な要素を持ち合わせた作品。

ただ物語だけで言えば名作となる力はあったとは思う・・・っていうか三転倒立さえなければアタシは名作として紹介していたはず。

消化不良になる事もなく2人の寄り添って生きていく様を描ききった間違いなく良作よ!

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