こんにちは、NAEです。
コンサルティングの仕事を始めて7年、わりとずっとロジック一本で生きてきました。
でもこれから生き残るには、アートやデザインなどのクリエイティブ系右脳スキルを理解し身につける必要があると思っています。
というわけで、デザインの勉強を始め、ツールをインストールし、なんとなくロゴデザインをしてみたりを試してみているんですが、壁にぶつかりました。
製作のことはじめから壁にぶつかるまでの軌跡をご紹介。
今回はそんなお話。
ツールを入れてみた
クリエイティブ系の知り合いをランチに誘っておすすめツールを聞いてみました。
イチオシはAdobe CCの月額サブスクリプション。理由は、どうせ長く触るなら本格的なものの方がいいし、使用感も断然違うから。
しかしこれまで画像・動画編集なんて写真のレタッチや結婚式ムービーくらいしかやったことがないため、片手間勉強で毎月4000+円というのはちょっとなあ・・・
というわけで、Adobe CC系の代替ソフトとして有名なものを一通り導入しました。
- 画像編集(ラスタ形式):GIMP
- 画像編集(ベクタ形式):InkScape
- 映像編集:Lightworks
将来Adobeへ移行することを考えて、こちらの記事を参考に、ショートカットキーをPhotoshopとIllustratorと同じものに変更しています。
これにて準備完了。
デザイン基礎知識をインプットしてみた
学びの原則は守破離。ことはじめとしては、ますは基本的な概念を学ぶのがよし。
というわけで、デザインの基礎知識を紹介するサイトにざっくり目を通します。
- これだけ読めば大丈夫!デザインの基礎が学べる厳選5記事|ferret [フェレット]
- デザインを勉強したことがない人でもデザインできるようになるかもしれない4つの基本原則
- デザインは基本が大切!ひとつ一つをしっかり見直しておきたい20のデザインテクニック | コリス
- レイアウト|伝わるデザイン
配色、レイアウト、ジャンプ率、明度、彩度・・・言葉の意味と効果の概要は理解できました。
しかし、それらがどう使われて、見え方や印象にどう影響するかがピンときません。
ひとつ作ってみようとした
やっぱり実践しないとね。
そこで、手始めに簡単なロゴを試作することにしました。大まかな手順は以下です。
- ロゴのコンセプトを考える
- 大まかなデザインを決める
- 手描きでイメージを膨らませ、ディテール部分を決めていく
- 手描きの最終ドラフトをPCに取り込む
- Inkscapeでキレイ化&微調整
- 主要部分のパスができたら配色
なおロゴデザインが文字ベースのシンプルなものでしたので、キレイ化にベジエ曲線を利用することを念頭に、手順5ではInkscapeを使いました。ロゴの構成が複雑な場合はGIMPのほうがよいかも。
かかった時間は1.~3.で2日くらい、4.~6.で4時間くらいでしょうか。
3つの壁にぶつかった
ただのロゴなのにこんなに時間がかかったのは、単にツールに不慣れだったことに加え、大きな3つの壁にぶつかったからです。
一言で言うと、できたロゴ=自分のアウトプットが正しいことを裏付ける術がなかったということ。
コンセプトってどう作るの?勝ちパターンが存在しない
コンサルティングの世界、特にぼくの得意分野であるITコンサルティングにおいては、クライアントの抱える課題のほとんどに対し、解決アプローチの勝ちパターンが存在します。方法論やフレームワーク、ナレッジと呼ばれるものです。
それらの1つ1つの要素には先人の過去の経験に裏打ちされた「なぜそうしなければならないか」が散りばめられています。そのパターンに従えば失敗の確率をグンと減らすことができますし、読み解けば先人の教えを知ることもできます。
しかし、クリエイティブの世界ではそうではないらしい。作品を見た人にどんなイメージや思いを与えたいのか、という最終的な目的ははっきりしていても、その実現手段は人それぞれ。作風や作者が違えば思いを伝えるアプローチは180度異なります。
つまり作者の数だけ勝ちパターンが存在する・・・かもしれないし、そもそも勝ちパターンなんてないのかもしれません。言ってしまえば、受け取る人の感性だって人それぞれですし。
ということを理解した上で振り返ると、初学者のぼくには作風やアプローチなんてそもそも存在しないわけです。何度も製作を繰り返していって作り上げるものだと思いますし。そりゃ何が正しいかなんてわかるはずがないですよね。
デザインの細部はどう決める?ロジックが通用しない
コンサルティングの世界では、なにか主張する=メッセージ出す際は、原則それを裏打ちする事実=ファクトをセットで出します。結論をロジックツリーで分解し、枝葉の各要素を事実で裏打ちします。そうすれば結論の「正しさ」を示せるからです。
それに、第三者の立場でモノを言うコンサルタントは常にクライアントからの「なぜ?」に答えられる必要があります。根拠のないメッセージを垂れ流すコンサルタントは信頼されません。これは課題解決型でも仮説検証型でも同じです。仮説の尤度を高めるには「なぜ」が必要です。
というわけで、デザインの細部を決める際にもロジックツリー的に「なぜそうするか(そうすべきか)」を考えていたんですが、これが全く通じない。端っこはマーカーで描き出すような風にした方がなんだかカッコいいかも・・・曲線が途中でカクカクしてるとなんだかみっともないから滑らかにしようかな・・・いずれも今書いた以上の「なぜ」なんて存在しませんし、裏付けるファクトなんてありません。すべての行き着く先は自分の感性ひとつ。
これ、言い換えるとロジックツリーを支えるものが自分だけというすごい状態なんです。モノを決めるというコンテキストにおけるロジックツリーの価値とは「自分の考える&決めるスコープを絞ることができる」「集めるべき情報を明確化できる」というのがぼくの理解なんですが、すべてが自分の感性に依存するのなら、そこにロジックのある意味は非常に薄い。考えるな、感じろ、というのはまさにこの事ですね。
本当にこれでいいの?アウトプットがあまりにもシンプル
コンサルティングにおけるアウトプットは「モノゴトを決めるフレームワーク」と「メッセージをサポートするロジックとファクト」の塊でできています。プレゼン資料等、最終的にクライアントに見せるものはKISS(Keep It Simple, Stupid)原則に則ってシンプルに保つものの、その内容は様々なもので裏打ちされているんですね。
また、正しくメッセージを伝えるために、一言一句、図の構成、配色その他、細部に至るまで見た目には徹底的にこだわり抜きます。すると自然とプレゼンのスライド1枚1枚にも重みが出てくるのが普通です。
一方で、ぼくのお試しクリエイティブのアウトプットは非常にシンプルな画像ファイル1枚のみ。SVG形式でたったの6KB、PNGに落としても高々15KB程度です。サイズはもとよりその見た目のシンプルさはハンパない。
これまで仕事でやってきたアウトプットと比べると極めて貧弱なわけです。なんというか、これで本当に良いのかな、正しいアウトプットなのかこれは・・・という思いが抜けません。
それもそのはず。勝ちパターンもなくロジックも通用しない=自分の武器が全く通用しない、という状態で出てきたアウトプットが貧弱そのもの。もう自信なんてあるわけないです。
結局最後は「エイヤ」
というわけで、最終的にはコンセプトは「エイヤ」で決め打ち。
デザイン部分はロジックもファクトも何もなしに右脳ひとつで「これだ!」と決めてかかり、最後まで一気に作りきりました。
コンサルティングで培った経験?そんな役に立たないものは頭の奥に引っ込んでますよ。
まとめ:考えるな、感じろ!
というわけで、デザイン初学者のコンサルタントがぶつかった3つの壁をご紹介しました。
これらの壁はひとえにぼくの経験不足によるところもあるかもしれません。特に作風の部分。スキマ時間にいろいろ作って経験値をためて行こうと思います。
今回は以上です。