内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査は、現状を示す指数が前月より1.8ポイント低い41.2だった。第2次安倍政権発足前の2012年11月(40.0)以来の水準に落ち込んだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う円高・株安が大きく響いており、景気の先行きに対する不安心理も強まっている。
タクシー運転手や販売員ら約2千人に景況感を聞いた。調査期間は6月25日から月末で、24日判明した英国民投票によるEU離脱決定の影響を反映した。
現状判断指数は3カ月連続で悪化し、景況感の節目の50を11カ月連続で下回った。ただ基調判断は「引き続き弱さがみられる」に据え置いた。
街角景気に重くのしかかるのが、英離脱決定で拍車がかかった円高・株安だ。北陸のテーマパークによると「増加傾向にあったインバウンド客が円高などの影響で2けたの減少になっている」という。
東海の百貨店は「高所得者層の一部に買い控えがうかがえる」と株安に伴う消費の「逆資産効果」を懸念した。
企業部門でも「円高で輸出採算が悪化している」(東北の一般機械器具製造業)などと業績悪化への不安が広がる。
「耐久消費財の大型商品が好調に推移している」(北関東の家電量販店)とボーナス商戦への手応えも聞かれたが、限定的。むしろ「消費マインドは一向に高まらず、生活防衛の姿勢が強まっている」(近畿のコーヒーショップ)との見方が多い。消費増税の再延期も心理改善にはつながっていない。九州では4月の熊本地震が「宿泊予約にまだまだ影響している」(観光型ホテル)。
2~3カ月後の景気を聞いた先行き判断指数は5.8ポイント低下の41.5となった。2カ月ぶりの低下で、下落幅は消費増税前の駆け込み需要の反動への警戒が広がった14年2月(9.0ポイント低下)以来の大きさだ。
先行き不安も強まっている。「(夏物商材の売れ行きが伸びる)猛暑への期待もあるが、株安などで客の節約志向はさらに強くなる」(四国のスーパー)。「早期に大型の補正予算の編成が期待できる」(北海道の建設業)と財政出動による景気底上げを求める声も出た。
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