- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2009/05/02
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目次
7月から非常勤になりセミリタイア
7月から非常勤として働いています。会社を経営している友人に「手伝ってくれないか」と声を掛けられ、現在の会社に来たのが2000年。それから、かなり自由にいろんなことができました。感謝しています。
セミ・リタイア。7月から非常勤ということになりました。「時間は自由でいいから、この業務だけこなしてね」ということです。時間も自由で体力的にもずっと楽になりました。
でも、頼りにされなくなるというのは寂しいものです。
何年か前から若手に譲り始めた仕事でも、「そんなのオレ方が出来るんじゃないか」と思ったり、まだ、みんなが働いている時間に帰るのは心に満たされないものが生まれてしまいます。
名作映画を毎日午前10時から上映する「午前十時の映画祭」というのがあります。過去に何度か見たことがあったのですが、セミリタイアした今なら時間を気にせずに見ることが出来ます。
現在上映しているのは「ハリーとトント」。タイトルをどこかで聞いたことがある程度でどんな映画かは知りませんでした。
愛猫のトントと一緒にニューヨークのマンハッタンに住む72歳の老人ハリーは、行政の区画整理のためアパートから強制的に立ち退きを迫られる。やむなく彼はトントを連れて長男の家に行ったものの、そこで嫁に気兼ねし、結局実娘シャーリーを頼ってシカゴに赴くことに。その旅の途中で拾ったヒッピー少女や、初恋の女性との再会。さらにはアリゾナ、ロスと旅を続けることになるハリーは、さまざまな人々と心通わせていくのだが……。(アマゾン:DVD「商品の説明」より)
アマゾンのDVDカスタマーレビュー、Yahoo!映画のレビューを見ると評価は高く、良い映画のようです。TOHOシネマズ 市川コルトンプラザでの上映は2016/06/25(土)から2016/07/08(金)まで。午前10からの映画はサラリーマンにはなかなか行けない時間ですがそこは非常勤、メリットを生かして見てきました。
頑固じいさんのロードムービー
どんな映画なのか。一言でいうと次のようになります。
区画整理のためアパートから強制的に追い立てられた72歳の老人ハリーが住む場所を求めて旅をする話です。
長男のところに行ったもののうまく行かず、長女の住むシカゴ、さらには西海岸まで旅することになります。こう書くと暗い映画のように思うかも知れませんが、そんなことはありません。ハリーは底抜けに楽天的で自由だからです。
ハリーは日本で言えば高校の国語教師のような仕事をしていたんだと思います。本屋を経営している娘との会話では、シェークスピアに話が出てきたかと思うとイプセンの話も出てきます。しかし、少しもインテリっぽくはありません。
ハリーは頑固です。
どんな風に頑固かというと、アパートから強制的に追い立てられるのですが、ガンとして動かず、最後は建物を警察にとり囲まれ、座ったまま椅子ごと運び出されます。
ハリーはトントと言う名前の猫を飼っていて、猫と一緒に旅をします。飛行機に猫を持ち込めないと分かるとバスに変更します。猫のトントにバスのトイレを使わせようとするのですがうまく行かず、無理を言って外で用を足させます。トントを一時見失ったことから、バスの旅を止めます。オンボロな車を購入して旅を始めます。
この自由さにはホレボレします。お金の心配なんか全然していないようです。
アパートに住んでいたときは孤独でした。
ハリーが話すのは限られた人たちです。猫の餌を買いに行くペットショップの主人。新聞を売っているスタンド。公園のベンチで毎日会う孤独なポーランド出身の男。
ハリーは長く一人暮らしをしてきたからか、トントに向かって独り言のように話しかけます。
妻を看取ったときの話もします。妻は我慢強いから苦しいなんて言わなかったのですね。そういう気持ちをハリーはよく観察していて、猫に語りかけるのです。自分は苦しまないで死にたいとも。妻を失って間もない私には 泣けるシーンでした。
いろんな人と出会いながら旅を続けます。家出した16歳の娘。ヒッチハイクをするとそれは売春婦の車でした。「100ドルしかないんだ」というと車は路線を外れます。彼女のビジネスが成立します。
ニューヨークから旅をしてロサンゼルスの海岸まで来てしまいました。ハリーはこの近くに住んでいるようです。週に何度か高校の授業をしているようです。
ラストは海岸で出会ったユダヤ人のお婆さんに一緒に住まないかとナンパされているシーンで終ります。
第47回アカデミー賞主演男優賞
「ハリーとトント 」は第47回アカデミー賞で主演したアート・カーニーが主演男優賞を受賞しています。
この映画でアート・カーニーという俳優さんを始めて知りました。wikipediaを見ると、第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦で足を負傷。そのために生涯足を引きずるということが書いてあります。しかし、映画の中では足が悪いような雰囲気はなく、元気な頑固じいさんでした。
「東京物語」と比較したくなる
老いた男が子供たちを訪ねる話というと小津安二郎監督の「東京物語」と比較したくなります。
「東京物語」は笠智衆さんが演じる平山周吉の優しさが描くかれていました。しかし、平山周吉は寂しく老いていくのですね。
「ハリーとトント」は違います。ハリーはニューヨークのアパートにいるときは孤独でしたが、生き生きと自由に旅をしました。住む場所を見つけるという目的があったからでしょうか。
そうすると、「どっちの映画がいいの」と聞く人がいるかもしれませんが、私は芸術に点数をつけたり、順位をつけたりするのは嫌いです。
人生に勝ち負けなし。どっちの生き方も、どっちの映画も素晴らしいじゃないですか。勝ち負けを決めるなんて野暮な話です。
まとめ
区画整理のためアパートから強制的に追い立てられた72歳の老人ハリーが住む場所を求めて旅をする話の映画「ハリーとトント」を見てきました。
7月からセミリタイアで、少し落ち込んでいたのですが、頑固で自由気ままなハリーを見て元気が出てきました。
みなさんもリタイアするときがあると思いますが、そのときはこの映画を見るのがオススメです。
きっと勇気にあふれると思います。