公営住宅で独居者死亡 家財の迅速処理で法改正要望
公営住宅で1人で暮らす身寄りのない人が亡くなったあと、家財道具などの処分ができず大きな負担になっているとして、大阪府は国に対して、迅速に手続きを進められるよう法律の改正を要望しました。
公営住宅で入居者が亡くなった場合、室内に残された家財道具などは相続人のものとなるため、処分には相続人の同意が必要ですが、家族関係の確認作業に時間がかかるなどしてなかなか進まず、大阪府の府営住宅では、返還されないままになっている部屋が190戸に上り、全国の大都市の中でも極めて多くなっているということです。
中には15年以上手つかずの部屋もあり、家賃に換算すると損害額は3億円近くに上るということです。
このため、大阪府の幹部が28日国土交通省を訪れ、迅速に部屋の返還に向けた手続きを進められるよう、公営住宅法の改正を要望しました。具体的には、相続人に対して家財道具などの処分を行うことを公告し、そのうえで期限内に処分されない場合、行政が処分できるような規定を盛り込むよう求めています。
大阪府の担当者によりますと、国土交通省は「国としても積極的に議論していく」と答えたということです。
大阪府住宅まちづくり部の堤勇二部長は「一刻も早く、公営住宅法を改正してもらうことで、府民の大切な財産である府営住宅を速やかに提供できるようにしたい」と話していました。
中には15年以上手つかずの部屋もあり、家賃に換算すると損害額は3億円近くに上るということです。
このため、大阪府の幹部が28日国土交通省を訪れ、迅速に部屋の返還に向けた手続きを進められるよう、公営住宅法の改正を要望しました。具体的には、相続人に対して家財道具などの処分を行うことを公告し、そのうえで期限内に処分されない場合、行政が処分できるような規定を盛り込むよう求めています。
大阪府の担当者によりますと、国土交通省は「国としても積極的に議論していく」と答えたということです。
大阪府住宅まちづくり部の堤勇二部長は「一刻も早く、公営住宅法を改正してもらうことで、府民の大切な財産である府営住宅を速やかに提供できるようにしたい」と話していました。
独り暮らしの死 自治体で分かれる判断
公営住宅で身寄りのない独り暮らしの人が亡くなったあと、どう対応するのか、自治体の間でも判断が分かれています。
取材した大阪府の府営住宅の1室では、3年前に独り暮らしの50代の男性が「孤独死」したあと、部屋の中の家財道具が放置されたままになっていました。近所の男性は「臭いはないけど虫はある。上におったら気持ち悪い。子どもが入って来て、たばこを吸うなどして火をつけられたら困る」と話していました。
部屋が放置されたままになっていた背景には、民法の規定があります。法律上、亡くなった人の家財道具は相続人のものとなり、処分には相続人の同意が必要ですが、身寄りがない人の場合、家庭裁判所での手続きが必要で、時間も費用もかかります。
この部屋の場合は、亡くなった男性と離婚した元妻との間の子どもを見つけることができて、今月、何とか家財道具を運び出すことができました。
ただ、大阪府によりますと、最近は身寄りのない人が亡くなることも多く、中には15年以上も家財道具が残ったままのケースもあるということです。返還されないままの府営住宅は190戸で、家賃に換算すると損害額は3億円に上ります。一方で、府営住宅の応募倍率は10倍以上で、希望者になかなか部屋を用意できないのが現状です。
一方、大阪市は独自の要綱を設けて対応に当たっています。大阪市の場合、相続人がいないと判断した場合などは、裁判所での手続きに入らずに職権で処分することもあるということです。
大阪市は「民法の規定に照らすと職権処分はグレーゾーンかもしれない。しかし、公共財の活用を優先する観点からやむをえない」と説明し、神戸市や京都市なども同様の対応をしています。
相続問題に詳しい藤井伸介弁護士は「民法自体は、もっとそういう場合に対応できるような規定制度を設けておくべきだが、今は迅速に対応できるような制度ではない。グレーゾーンのルールをきちんと定めたほうがよいのではないか」と話し、職権処分は現実的な対応だとしながらも、法的には問題が残ると指摘しています。
取材した大阪府の府営住宅の1室では、3年前に独り暮らしの50代の男性が「孤独死」したあと、部屋の中の家財道具が放置されたままになっていました。近所の男性は「臭いはないけど虫はある。上におったら気持ち悪い。子どもが入って来て、たばこを吸うなどして火をつけられたら困る」と話していました。
部屋が放置されたままになっていた背景には、民法の規定があります。法律上、亡くなった人の家財道具は相続人のものとなり、処分には相続人の同意が必要ですが、身寄りがない人の場合、家庭裁判所での手続きが必要で、時間も費用もかかります。
この部屋の場合は、亡くなった男性と離婚した元妻との間の子どもを見つけることができて、今月、何とか家財道具を運び出すことができました。
ただ、大阪府によりますと、最近は身寄りのない人が亡くなることも多く、中には15年以上も家財道具が残ったままのケースもあるということです。返還されないままの府営住宅は190戸で、家賃に換算すると損害額は3億円に上ります。一方で、府営住宅の応募倍率は10倍以上で、希望者になかなか部屋を用意できないのが現状です。
一方、大阪市は独自の要綱を設けて対応に当たっています。大阪市の場合、相続人がいないと判断した場合などは、裁判所での手続きに入らずに職権で処分することもあるということです。
大阪市は「民法の規定に照らすと職権処分はグレーゾーンかもしれない。しかし、公共財の活用を優先する観点からやむをえない」と説明し、神戸市や京都市なども同様の対応をしています。
相続問題に詳しい藤井伸介弁護士は「民法自体は、もっとそういう場合に対応できるような規定制度を設けておくべきだが、今は迅速に対応できるような制度ではない。グレーゾーンのルールをきちんと定めたほうがよいのではないか」と話し、職権処分は現実的な対応だとしながらも、法的には問題が残ると指摘しています。