『もういっかい彼女:松久淳』2016年5月出版!! 最新タイムトラベル恋愛小説
今回ご紹介する小説「もういっかい彼女」は、2016年5月30日に第1版が出たばかりの最新小説です。
著者の松久淳さんは、田中渉さんとの共著「天国の本屋」を書いた作家さんになります。
早速、本の内容ですが、タイムトラベル(スリップ)ものです。
普通の作品と違うのは、この物語が「タイムスリップが全て終わった後」を描いていること。
つまり、書かれていることのほとんどは過去の話なのです。
そして最後に明かされる意外な真実を目にした時、全ての伏線が回収されます。
老いた1人の作家が語る、不思議な物語をご紹介します。
以下、amazon商品説明より一部引用
私は、何度か過去に戻ったことがある――。
(中略)
雑誌のライター・富谷啓太(通称・タニケー)は、自分が担当する「オールド・タレント」というインタビュー連載に、なんとなく訳ありのある人物を取材するよう依頼される。取材相手は、佐々田順という官能小説家で、20年前に9作の小説を世に出した後は、すっかり鳴りを潜めていた。
あらすじ
ライターの富谷啓太は、佐々田順という官能小説家の作品9作を読み、ふとしたことを思いつく。
「第3作から9作まで、ヒロインのモデルは同一人物ではないだろうか」
雑誌の取材で佐々田の元を訪れた富谷は、その質問をぶつけた。
それをきっかけに、佐々田は自らの体験を語り出す。
自分は過去に戻った経験がある――と。
佐々田が36歳の時、彼は菜津子と出会った。
図書館の司書をしていた彼女と佐々田は直ぐに打ち溶け合い、深い仲になる。
2人の関係は7年続き、最終的に菜津子は白血病で亡くなった。
悲しみに暮れながらも、涙を流し嗚咽することができない佐々田は、
ある日を境に奇妙な夢をみるようになる。
その夢では、目の前に、若き日の自分が立っていた。
感想
私はSFもファンタジーも大好きなので、ダイムトラベルものは大好物です。
ただ、この作品に関しては、いわゆる「普通」のタイムトラベルとは言い難い部分があります。
なんせ、主人公の富谷啓太が時空を飛び越えるわけではなく、
ましてや作中にタイムトラベルが起こるわけでもないからです。
全ては過去に起こった事。
それを作家の佐々田が、富谷と、同行したカメラマンの野田奈々に聞かせるという物語なのです。
佐々田が経験した不思議な夢はとてもリアルで、聞き手の富谷と野田が涙ぐんでしまうくらい。
登場人物がみんなアラサー以上という、大人なテイストも素敵です。
大人の妖しい関係と、純粋な愛を等身大で描いた文章には惹かれました。
そして、クライマックスで明かされる、佐々田の真実に気付いた時、登場人物だけでなく、
読者が佐々田に対して抱いていた印象さえ、がらりと変わります。
暖かみのある読了巻を、みなさんにもぜひ体験していただきたいです。
まとめ
ちょっと変わったタイムトラベル恋愛ものです。
作中でいきなり時空を超えて……。
という派手さはありませんが、大人たちの織りなすしっとりとした恋愛模様はゾクゾクとニヤニヤを生み出してくれます。
タイムトラベルというジャンルが好きな方にはもちろんおすすめです。
更に、少し洒落た酒の匂いがする、妖しい大人の恋愛を覗き見してみたい方もぜひ。
この物語を読み終わった後、みなさんはきっと、猫を飼いたくなって、ボードゲームがやりたくなることでしょう。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今日のオススメ本、いかがでしたか?
こんな時に読む本をお勧めしてほしい。などあれば、コメント等でお知らせください。私、とても喜びます。
読んだ感想などお聞かせいただければ、これもまた、とてもうれしいです。
ぜひ私と、読書体験を共有しましょう。
目的別おすすめ度
泣ける:★★★☆☆ 3
キュンとする本:★★★★☆ 4
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