今度の連発「全く記憶ない」「覚えていない」
都議会総務委員会の集中審議で追及を受ける
「政治家としての信義」「精査する」−−。数々の公私混同問題について、13日の東京都議会総務委員会の集中審議で追及を受けた舛添要一知事は、政治資金の使途や関係する人物について正面切って答えなかった。こうした姿勢に、議員や傍聴席からは「先延ばしの答弁」「二枚舌」と批判の声が上がった。
「知事の口から説明できる最後の機会になるかもしれない」「即刻辞職すべきだ」と厳しい指摘が続いても顔色を変えず、軽くうなずきながら与野党議員の質問に耳を傾けた舛添氏。しかし、答弁に立つと時折前後に体を揺らしながら「政治家としての信義という観点から、外に出せないことがたくさんある。政治家の皆さんならご理解いただけると思う」と持論を繰り返した。
家族で正月に宿泊した千葉県木更津市のホテルでの出版会社社長との面談については「政治家としての命運を決する大きな決断の時だった」と重要性を強調する一方、相手の連絡手段などを確認されると「全く記憶にない」「覚えていない」を連発した。
また、政治団体から舛添氏に借入金の返済として200万円が支出されていることを問われると「手元に資料がない」と回答しなかった。
新たな事実を出さない姿勢に、質問に立った鈴木隆道議員(自民)は「今のあなたほど『政治家としての信義』という言葉が似つかわしくない方はいない」と突き放した。
序盤は冷静な表情で答え続けた舛添氏だったが、終盤には答弁前後に徹底していた一礼を忘れる場面も見られた。
集中審議の最後では、質問者が自席に戻ると同時に挙手して発言の機会を要求した。不信任案の採決や進退について「リオ五輪まで猶予をいただきたい」と、居並ぶ委員に3回頭を下げて請うた。
深まらない議論に傍聴席からは「自公は甘すぎる」などとヤジが飛び、委員長が「議事の妨害は禁じられている」と制止する場面もあった。初めて傍聴したという東京都杉並区の無職男性(70)は「議会の任務は税金の使い道のチェック。知事の二枚舌をちゃんと調べてほしい」と不満げに語った。【林田七恵、円谷美晶】