私は建設業で働いている。
建設業といえば、お昼御飯を食べに一日に百万もの餃子を作る中華料理店へ行けば、他のお客様に「底辺が来たぞー!」とピータンを投げつけられたり、店員に「お前に食わせるタンメンはねぇ」という罵声と共にコップに入った水道水を浴びせられたりする、下の下の職業である。
なぜ私がそのような思いをしてまで、建設業で働いているのかと言うと、これには私の過去、深い深い業が関係しており、例えば、かたつむりを捕獲して、ススキと呼ばれる手持ち花火で炙り殺して「どうぞ!シェフの気まぐれエスカルゴですっ!」と言いながら、それを友達に食べさせようとしたり、蛙を捕獲して、天空に投げ、「飛んでるんじゃない、落ちてるんだ、かっこつけてな」とアフレコしたりと、様々な業をツムツムしてきた。
その積み上げたる業はサグラダファミリアに匹敵するほどの建造物になり、もう後戻りはできない。悔い改めて、この生涯をかけて償い続けるしかないのである。
上記の理由から、やりたい事で飯を食う!キャンピングカーでフリーランス!みたいな生き方が出来ずに、今日も屋上を這いつくばったりしているのである。
市街地の屋上や足場で作業をしていると、材料や工具の飛散や落下に気をつけなければいけない。
作業員の下に人が通行する時は作業員にそれを注意喚起し、第三者災害に努めなければいけない。
当然作業員自身も、自らの周囲、直下を確認して、安全に作業を進めなければ成らないのだが、彼らはこの蒸し暑い気温で露出が多くなった女性を見つけては、「ひゅおぉぉい」と下心丸出しのやらしい目で、これを見ていたりする。
監督という立場と、人として言わせてもらうが、このような下衆な輩を私は許せない。
彼らのような人間がいるから、建設業のイメージは一向に良くならず、若者が嫌がり、人手不足という無限ループが完成するのである。
そして私はそんな下衆の彼らにしっかりと作業をして頂く為に、自身が下を覗き込み「歩行者通りまーす!」と大きな声で伝達し、監督としても、人間としても素晴らしい行いをして、自身の積み上げた業を刈り取っているのである。
しかしまあまだ6月だというのに、女性陣営の露出の激しさといったら、目の保養、いや、目に毒であり、いかぬいかぬ。こんな事を考えていたら下衆の作業員と同じ人種ではないか、私は崇高な紳士、レディファーストをスローガンとする爽やかな好青年。この目に飛び込んでくる谷間を違うものに変換して、機械的に仕事を、任務を遂行せねばならない。
そう思った、私はその目に毒なモノを『くだもの』に変換して作業員に伝える事にした。
歩行者通りまーす!みかん通りまーす!りんご通りまーす!歩行者通りまーす!りんご通りまーす!白桃通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!りんご通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!みかん通りまーす!白桃通りまーす!まな板は帰れ!歩行者通りまーす!りんご通りまーす!グレープフルーツ通りまーす!りんご通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!りんご通りまーす!歩行者通りまーす!ビーフストロガノフ。歩行者通りまーす!みかん通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!白桃通りまーす!グレープフルーツ通りまーす!歩行者通りまーす!みかん通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!歩行者通りまーす!メロン、メロンです!メロンが通りますっ!メロンの苺が見えてますっ!苺が見えてますっ!メロンメロンメロン!ひゅおぉぉいひゅおぉぉいひゅおぉぉいひゅおぉぉい!
ひゅおぉぉい!