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今月の11日、太陽エネルギーだけで飛ぶソーラー飛行機「Solar Impulse2」が北アメリカ大陸を横断し、ニューヨークのJFK空港に着陸しました。このSolar Impulse2は燃料を一滴も使わず世界一周、総飛行距離3万5千キロを旅する前人未到の試み。昨年の3月に中東のアブダビを出発して以来14回目の着陸であり、4月21日にカリフォルニア州に到着してから約20日をかけてアメリカを横断したことになります。

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Solar Impulseは、2003年にスイスで始まったプロジェクト。Solar Impulse2はその2号機です。太陽エネルギーのみによる長距離飛行を可能とするためにテクノロジーを結集。機体は軽量カーボンファイバー製で重量は2300kg、これは小型自動車と同程度です。一方で両翼の長さはジャンボジェット機(ボーイング747)を上回る72mに及び、主翼や胴体部分など、ほぼ全面にわたって超効率ソーラーパネル(単結晶シリコン)1万7248枚を搭載しています。

そうして、1日あたりの発電量は最大340kWhを実現。昼間に発電したエネルギーは内蔵のリチウムイオンポリマー電池に送って夜間飛行も可能としています。

最高航行速度は25ノット(約45km)とゆっくりで、健康上の理由から1回の飛行は基本的に3〜4回まで。2人のパイロットが交代で操縦する体制とされています。


12年の歳月をかけた準備の末、アブダビを旅立ったSolar Impulse2は、東回りでアラビア海、インド、ミャンマー、中国、太平洋と飛行。南京に到着しながら悪天候のため何週間も待機を余儀なくされ、ようやく飛行したもののハワイまでのノンストップ飛行を断念して名古屋に着陸したりと苦難続きでした。5月初めに北アメリカ到着後、いくつかの都市に降り立ってから、今月10日遅くにペンシルバニア州のリーハイバレー空港を離陸。ライトアップされた自由の女神付近を通過して(そのために時間調整したとか)JFK空港に着陸しました。

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アメリカ縦断を終えたものの、出発地のアブダビに戻るまでの全行程は3分の1を残しています。これから過酷な大西洋横断に挑むSolar Impulse2チームの成功と旅の無事を祈りたいものです。

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