日本を「貧困大国」にさせないための処方箋

教育、雇用、住宅の自助努力はもう限界だ

企業と労働者の関係が悪化するなか、今できる対策を探る
「働けばなんとかなる」――その思い込みだけで突っ走り、セーフティーネットをおろそかにしたツケが再び押し寄せている。失業保険は不十分なまま、職業訓練や資格所得のメニューも貧弱、再就職先はブラック企業、支援する側が非正規雇用で、大手企業すら「求人詐欺」で搾取するだけ……。
企業と労働者の関係が悪化するなか、再興の道はあるのか?「『働いても幸せになれない日本』に生きる若者」(5月1日配信)に続き、後編として、暗くなるばかりの気持ちを振り切り、今できる対策を探る。

世代間対立している場合じゃない。親子で共闘せよ

今野晴貴(以下、今野):悲惨な話ばかりをしていても救いがないので、求人詐欺や貧困に対して、具体的な処方箋を考えてみましょう。

まず求人詐欺については、予防策として、求人票のリテラシーを身に付けることが大切なのは言うまでもありません。でも、求人詐欺の手口はどんどん巧妙になってきているのも事実なんですよ。

藤田孝典(以下、藤田):不幸にも被害に遭ってしまったら、どういう対処の仕方があるのですか。

今野:たとえば求人の内容と契約書の内容が違っていたら、後から未払い分の給与を請求することができます。時効になるまでは2年間あるので、原理的には2年前までさかのぼって「詐欺で騙された」分の賃金の請求が可能なのです。

請求を確実にするためには、とにかく就職活動中、あるいは転職活動中から会社とのやりとりはすべて記録しておくことが大切です。そして入社後は、自分の出社時間や退社時間の記録やメモですね。それらの「証拠」があれば、騙されたとしても被害を回復できる可能性が高まります。

ここで声を大にして強調しておきたいのは、年配の人もこの事実を知って、息子や娘、孫に対して積極的に助言してほしいということです。

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