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「東大生の親」は我が子だけに富を“密輸”する

プレジデント 5月4日(水)10時15分配信

■東大生は「富裕層に著しく偏している」

 日本の大学の学費が「バカ高」なのは、よく知られています。

 今や国立でも年間授業料は50万円超、私立では設備費なども合わせると年間100万円を超えるのが普通です。下宿生となると家賃などもかかりますから、家庭の費用負担はもっと大きくなります。

 こういう事情もあってか、大学生の家庭には富裕層が多くなっています。

 大学生の24.4%(4人に1人)が、年収1000万以上の家庭の子弟です(日本学生支援機構『学生生活調査』2014年度)。この値は私立では24.2%、国立では27.0%となります。平均年収は、私立が826万円、国立が839万円です。大学生くらいの子がいる世帯全体に比して、明らかに高くなっています。

 学費が安い国立大生の家庭の年収が高くなっていますが、国立大学は入試の難易度が高く、幼少期より多額の教育投資(塾通いなど)が求められるためと思われます。

 国立大学の中でも難関を極めているのが東京大学ですが、この最高学府の学生(約1万3000人)の出自はどうなっているのでしょう。

 家庭の年収分布は如何。パンドラの箱を開けるようでちょっと怖いですが、データをみてみましょう。

 資料は、2014年度の『東京大学学生生活実態調査』です。同大学の学部学生に、家庭の年収を尋ねた結果が掲載されています。東大生の特徴を知るために、大学生くらいの子がいる世帯全体(一般群)の年収分布との対比もしましょう。

 図1は、両群の年収分布を帯グラフにしたものです。年収階級の区切りがやや不自然ですが、東大調査の区分に合わせていることを申し添えます。

 むうう。2つの群の違いが火を見るより明らかです。

 東大生の家庭では年収950万超が54.8%を占めています。一般群では22.0%でしかないことを考慮すると、東大生は富裕層に著しく偏しているといえます。逆をみると、年収350万未満の低収入層は一般群では24.5%ですが、東大生では8.7%しかいません。

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最終更新:5月4日(水)10時15分

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