IQは、「頭の良さ」を表す言葉としてよく知られています。
「IQはこうやって高める」、「IQを伸ばす幼児教育」といったうたい文句は、ネット上でもよく見かけますし、日常会話の中でも度々耳にします。
某探偵漫画の主人公は、IQの高さと祖父の知名度がキャッチフレーズのようになっていましたし、映画、小説、漫画などでもIQの高いキャラクターが活躍するものは多いものです。
しかし、IQの定義は変化していますし、IQが高い人が必ずしも頭が良いわけでもありません。
この記事では、IQ(知能指数)の概要、IQと頭の良さの関係、IQが伸びる時期、IQを伸ばす遊び方や知育法(育脳)について紹介します。
IQとは
IQとは、知能検査(知能を測定するための検査)の結果を表す指標の一つです。
IQの種類
IQには、大きく分けて2種類あります。
- DIQ(偏差知能指数):「同年齢集団内での位置」を基準とした標準得点としての知能指数(全集団の中でどの位置にいるか)
- IQ(知能指数):「実年齢(生活年齢)と精神年齢(知能年齢)の差」を基準としたIQ(ある基準に照らし合わせて、能力がどの位置にあるか)
※標準得点:テストの素点を、集団基準(標準偏差、平均値など)によって、全集団内における位置づけが把握できるように変換した得点
以前は、「実年齢(生活年齢)と精神年齢(知能年齢)の比」を基準とする知能検査が主流だったため、IQが使われていました。
しかし、現在は、「同年齢集団内での位置」を基準とする知能検査が主流になり、IQよりもDIQが使われる機会が多くなっています。
この記事では、IQとDIQの違いを取り上げていないため、読みやすさを考慮して、IQとDIQをまとめて「IQ」と表記しています。
IQの見方
IQの平均値は、IQ=100です。
IQ=70~130の間に約95%、IQ=85~115の間に約68%の人が入ります。
IQの測定方法
IQの測定には、知能検査を使用します。
知能検査は、学校における学習・生活指導、採用試験における適性判断、障害者認定など、さまざまな目的で活用されています。
検査内容や実施方法の異なるものがたくさん開発されていますが、ここでは主なものを紹介します。
検査内容による分類
- A式検査:言語性検査。言語能力が影響する
- B式検査:非言語性検査。言語能力があまり影響しない
- C式検査:A式とB式の中間
実施方法による分類
- 集団式:集団で実施できる、質問形式の書き込み型検査
- 個別式:検査者と被験者が一対一の対話形式で行う検査
日本でよく使われる知能検査
- 新田中B式知能検査:B式・集団式検査
- WISC:A式・個別式検査。正式名称はWechsler Intelligence Scale for Children
IQが高いと頭が良い?
IQ(知能指数)は、高ければ高いほど知能が高いことを表します。
「頭が良い」を、勉強ができる、要領が良い、知識が豊富という意味で用いる場合は、「IQが高いと頭が良い」と言えることが多いでしょう。
一方で、社会性や社会適応の良さという意味だと、「IQが高いと頭が良い」とは必ずしも言えません。
例えば、アスペルガー障害という発達障害の人は、発達障害のない人よりIQが高く、勉強もできることがありますが、社会適応に課題があります。
また、知的障害がある人でも、程度にはよりますが、小さい頃から能力に応じた教育を受けることで、うまく社会適応できるようになります。
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IQが伸びる時期
「IQって生まれつき決まっているものではないの?」、「IQが伸びやすい時期ってあるの?」という疑問を持っているパパママは多いものです。
そもそもIQは伸びる?
結論から言うと、IQは伸びます。
もちろん、遺伝によるところも大きいものですが、パパママの関わり方や養育環境などによってIQが伸びることは、いくつもの研究で明らかにされています。
一方で、不適切な関わりや不遇な養育環境で育った場合は、IQが低いままに抑えられてしまうこともあります。
IQが伸びる時期
IQ(知能指数)が伸びるのに最も大切な時期は、「生まれてから3歳まで」です。
IQ(知能指数)は脳の発達が深く関係しているので、脳が発達する仕組みについて簡単に紹介します。
脳は、大まかにいうと次のように発達します。
- 赤ちゃん・子供が新しい経験をする
- 脳に刺激(情報)が送られる
- ニューロン(神経細胞)の端にシナプスができて、ニューロン同士が繋がり(神経回路)、ニューロン間で情報が伝達されるようになる
- ある情報が神経回路を通って各分野に届き、各分野が連動して機能するようになる
ニューロンは、生まれた時から大人と同じ数が脳内にありますが、ほとんど繋がっていません。
そのため、脳に刺激を送ってシナプスをたくさん作り、ニューロン同士をつなげて、脳の各分野が連動して働けるようにする必要があるのです。
この過程自体は、人が自然に行っているものですが、シナプスが最も増えるのは生まれてから3歳頃までで、その後は増加が緩やかになっていきます。
そのため、脳の発達(IQを伸ばす)には、生まれてから3歳までがとても大切なのです。
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IQを伸ばす遊び方や知育法(育脳)
IQを伸ばす(脳の発達を促す)には、パパママの関わり方(遊び方)がとても大切です。
ここでは、生まれてから3歳までの赤ちゃんや子供のIQを伸ばすために、特に大切な遊び方や知育法(育脳)を紹介します。
欲しがった時に欲しがるだけ授乳する
欲しがった時に母乳やミルクをもらえた赤ちゃんの方が、決まった時間にもらった赤ちゃんよりも、IQが高くなるという研究結果があります。
また、別の研究では、欲しがるまで授乳してもらえた赤ちゃんの方が、途中で断乳された赤ちゃんよりもIQが高くなるという結果が出ています。
授乳の方法でIQが高くなる理由については、基本的信頼感が十分育まれた結果であるとか、スキンシップが多かったためといった説があります。
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遊ぶ時間を増やす
赤ちゃんや子供が一人で得られる経験はごく限られています。
パパママがたくさん声をかけ、一緒に遊び、褒めたり叱ったりすることで脳が刺激され、コミュニケーション能力や社会性が育まれますし、パパママの言動を見聞きして習得していきます。
「教える」よりも「話しかける」
パパママは、赤ちゃんや子供に色々なことを学んでほしくて、ついつい「教える」関わりが多くなりがちです。
しかし、パパママの「教える」は、赤ちゃんや子供にとっては、「教えられる」という受け身の経験ですし、パパママの親権さに思わず身構えてしまうこともあります。
そのため、何かを教えたい時でも、指差して「あれは車」、「これはネコ」と教えるのではなく、対象に関心を向けさせて「あ、車だねえ」、「猫ちゃんがいるよ」と話しかけてみましょう。
話しかけることで、赤ちゃんや子供は身構えることなく自然に学習していきます。
自発的に、楽しく遊べるようにする
赤ちゃんや子供が「楽しんだこと」や「自発的に取り組んだこと」は、良質の刺激として脳に伝わり、脳の発達に直結します。
一方で、「楽しくないこと」や「やらされたこと」は、かけた時間や手間のわりに身につかないものです。
遊ぶ時は、赤ちゃんや子供が自主的に取り組み、楽しめるように工夫してあげましょう。