去年の4月ごろに、自分が学んでいた仏教でメディアをつくろうと決意し、立ち上げた。
そこからおよそ1年が経過し、ゆるやかに伸び続け、仏教系メディアという非常にニッチなジャンルでいえば結構な規模にはなった。(※SimilerWebで色々見た結果)
PVでいえば月間3万PVほど。規模としてはそれほど大きくないかもしれないが、仏教という宗教や哲学系というソーシャルメディアでの拡がりも難しく、検索ニーズもなかなかない分野ではよくやれていると思う。
20代を中心に仏教のイメージはよくないので、それを変えるべく、色んな記事をあげていった。一番読まれているのは以下のガンダムの記事だ。「阿頼耶識システム」の阿頼耶識って仏教の言葉なんだぜ。知ってた?
そして最近ではメール講座という新しい取り組みを始めている、という状況だ。
自分一人ではなく、Webについてほぼ知らない素人集団をまとめて、ここまでやれたことを素直に褒めたい。
ということで、素人の人たちをまとめた、にわか編集長なりの工夫を書き残しておきたい。Webライターをどうまとめるかの話はネット上に上がってそうだが、素人集団の育成についてあまりなさそう。
NPOなど、インターネット上でのメディア展開をしていかなければならないが、人手も少なく、そしてWebの素人ばかりで困ってる人たちの参考になると嬉しい。
Web素人について
インターネットにどっぷりだった自分はおいておいて、周りのメンバーはほとんどWebの素人だった。ド素人と言っていい(ごめん、みんな)
ガラケーしか持ってない人もいたし、"PV"と聞いてプロモーションビデオ以外に何があるんだという顔する人しかいなかった。当然ブログを書いた経験のある人もいない。Twitterなにそれみたいな。(Facebookはやってた)
驚きもしたが、一方でこういうWebにそこまで触れていない人も、20代でも結構いるんだなという発見だった。仕事ではWebに触れてる人しか相手にしてなかったから。
欲をいえば、Webに詳しいほうがいい。けれど、そういう人を探すのも難しいし、何より仏教を学んでる人はなかなかない。であればWebの素人でも勉強してる仲間にノウハウを伝えていったほうが早いと思った次第。
とはいえ彼らと一緒にWebメディアを立ち上げられるのか、それはもう不安しかなかった。
Web素人の育成はキモ
しかし、ブログならまだしもWebメディアとして立ち上げるには、人の存在は貴重だ。一人で運営を頑張っていても、絶対途中でダレる。怠ける。その未来は容易に想像できる。
多くの人を巻き込むには、まず仲間から。
一人のWebリテラシーが高まれば、その一人が他の一人に教えることができるようになる。そしてその一人が…。というように、どんどん拡がっていく。
クチコミの拡散と同様に、教育も拡散していく。そして伝えることで、その人もまた習熟していく。
そうして人に伝えられる集団というのは、組織として強固になっていく。そうするとメディアとしては安泰になる。
ということで、Web素人をどうやる気にさせるか、それがメディア運営で特に重視したことだった。
してきた工夫
そこで運営にあたって、してきた工夫を紹介する。テーマは「簡単で楽しい」だ。
楽しいと思ってもらう
最大の工夫というか、教育方針はこれに尽きる。
楽しくないと始まらない。楽しいと思ってもらって、始まる。
彼らにWebメディアの意義や、マーケティングについて延々と語っても、分かる部分はあっても、あまり効果はない。「ふーん」で終わる。そういうのは詳しい人向けにやるべきことだ。
そんな難しいことは不要で、シンプルに楽しいと思ってもらうことが最重要だ。
だから、最初に記事を書いてもらうときも「これを書いてくれ」とは言わない。
まず「何が書きたいか」を聞く。そして自分の好きなもの、書きたいものを書いてもらう。
そして最初から成果を求めない。まずは書いてもらうのがゴール。だから最初はほとんど文章にはならない。けれどめっちゃ褒める。
その後の編集も公開もこちらでやる。自分が書いた文章が、公開される。その完成品を見せて、世の中に自分の文章が公開される喜びを知ってもらう。
文章を書かない人にとって、文章とは苦痛なものだ。言ってみれば大学のレポートのようなもので、好き好んで書ける人はまずいない。
だからこそ、楽しんでもらうということが本当に大事。
そしてその楽しさを知ると、次も文章を書いてくれる。それが繰り返されると、自然と文章はうまくなっていくものだ。
KPIは簡潔に
「KPIって何じゃそれ」となるので、KPIとしては伝えてないが、目標として話をしている。
メディア運営のKPIというと色々な指標が考えられる。PVはもちろん、UUや検索流入数などいろいろあるだろう。
しかし上記でもあるように、その指標は伝えてもなかなか理解されない。言って混乱させてしまうのであれば、置くだけ無駄な指標だ。
そこで指標はシンプルにPVとした。PVといっても「?」となるので、どれくらい見られたかとか閲覧数と言っている。場合によっては、正確ではないのだが、何人に見られたかということもある。
正確に言えば、PVもセッションもUUもそれぞれ全然違う単位だ。けれど、これを解説して、わけわからなくさせるくらいなら、同じようなものとして語るくらいで丁度いいと割り切る。
ここで下手な説明をして、ドツボにはまるくらいなら、いっそ切り捨てる覚悟が欲しいところ。
「3月はこれくらい見られましたよー」「そのうちあなたの記事は◯◯に見られたよー」と報告し、「4月はこれくらい見られるようがんばろう」と鼓舞する。
大事なのは理解できる簡潔さだ。モチベーション維持と成長においては。
そこに変な難しさは不要なのだ。
資料化、ノウハウ化
ライターが増えれば増えるほど、一人ひとりにかけられる手はなくなる。教育は時間も労力も必要とするから。
そういう時に大事なのが、自分の分身である資料をつくること。
取り急ぎ最初につくったのは、ライターとして参加したいという人向けに、「まずこれ読んでおいて」というための資料だ。
団体趣旨、これまでの成果、文章をつくる意義、文章のつくりかた、編集がどうされるのか
一人か二人に伝えてたら、伝える内容は固まってくる。それを資料に落とし込めれば、展開が非常にしやすくなる。
情報共有はFacebookグループで
情報共有はFacebookグループでしている。
正直これは今でも悩んでるんだけど、新しいツールは今は導入しない方向で進めてる。
なぜか。使いこなせないだろうから。最新ツールも使いこなせなければ、意味は無い。
使い慣れたものをうまく活用するのが一番だ。
Facebookはそれなりに使ってるようだったので、使ってる。
本当はChatworkなり、サイボウズなりを使いたい。
しかし、変に多くのツールを使うと混乱させる。それで記事の執筆スピードを遅らせるならやらないほうがいい。
同じような考えで、LINEグループも考えたが、これは情報がフローで流れまくるのでよくない。
情報共有はFacebookグループで、コミュニケーション系はLINEで、と使い分けるのが無難っぽい。
もちろん人数増えてきたら考えたいところ。
最後に:嬉しかった言葉
他にもデザイナーがいないなら、金で解決ってことで、Wordpressのテーマを有料のものを買う、とか細かい話はあるが、大筋上記のようなもの。
しかし、そこそこ規模が大きくなってくると、Webに詳しい人が仲間になってくれるケースも見られそうだ。
問題は立ち上げ時期。ここは苦しい。その中で一番詳しい人が辛い目を見ると思う。
けど、救われたのは「文章書くのが楽しくなった」と言われたこと。何より嬉しい言葉だった。
そういう人が他の人にも楽しさを伝えてくれたら、継続的な運営は見えてくる。
一筋縄ではいかないけれど、人に教えて見えてくるものが色々とあった。引き続き頑張っていきたい。
もし教育で何かお困りごとあれば、ご連絡ください。