プリキュアが表紙を飾る幼児誌ってのがあります。
子育て中の親御さんは、本屋に行った際に「あの子供にとってとんでもなく魅惑的な幼児誌のコーナー」をいかにやり過ごすか、に苦労していることと思われます。
こういった幼児誌でのキャラの露出は、そのキャラクタの玩具やキャラグッズの売り上げに影響するものなのでしょうか。
逆に、コンテンツ自体の人気が出ると、幼児誌の売り上げが上がるのでしょうか。
幼児誌の印刷部数を調べてみました。
幼児誌の現状
現在、幼児誌を展開しているのは、大きなところでは2社。
講談社と小学館です。この2社がしのぎを削っています。
発行誌に関しては、ちょっとややこしいのでまとめます。
(1~2歳向けのベビーブック、おかあさんといっしょ、げんきや、男の子むけのテレビランドマガジンなどは除く)
講談社、小学館の(女の子向け)幼児向け雑誌について
講談社系は「プリキュア」を独占しており、雑誌の表紙を主に「プリキュア」が飾ります。
小学館系は男女兼用の雑誌が多く、戦隊、ライダー等男の子むけ、アンパンマンや妖怪ウォッチなど男女共用の強力なコンテンツのほか、女の子向けでは現在「アイカツ」「プリパラ」といったコンテンツを取り扱っています。
出版社によってメインコンテンツのすみ分けがなされ、戦いを繰り広げています。
(講談社系)
(小学館系)
この中で印刷部数が公表されているのが
講談社「たのしい幼稚園」「おともだち」
小学館「幼稚園」「ぷっちぐみ」
です。
印刷部数は日本雑誌協会様のHPで公開されています。
で、この「プリキュアが表紙を飾る幼児誌」の印刷部数は現在どうなっているのかを調査しました。
講談社「たのしい幼稚園」「おともだち」の発行部数について
(年間の推移グラフ)
プリキュア擁する講談社の2冊は比較的安定した推移です。講談社系はかつては「セーラームーン」を抱えていたりで女児向けに特に強く安定している傾向ありますね。
ただし2014年以降「たのしい幼稚園」で印刷部数の減少が見られます。これは後述の小学館「ぷっちぐみ」の台頭が影響しているのではないかと思います。
一方、プリキュアを擁しない小学館の2冊は増減が激しいですね。とくに「幼稚園」は落ち込みが激しく、6年間で20万部ほど印刷部数を落としています。
逆に同じ小学館の「ぷっちぐみ」は2013~14年にかけて印刷部数を大きく伸ばしています。
これは「ぷっちぐみ」が扱う「アイカツ」「プリティーリズム」「プリパラ」が牽引したものと思われます。この時期は付録に「プリズムストーン」「アイカツカード」が付き大人気を博していました。
これを見る限り、
「コンテンツの人気が出ると」「雑誌の印刷部数が上がる」
ということは言えそうな気がします。
幼児誌の印刷部数と、バンダイトイホビーの売り上げの相関について
プリキュアが表紙を飾る「たのしい幼稚園」と「おともだち」の印刷部数を合算したものと、バンダイのトイホビー売り上げに相関があるのかを調べました。
(バンダイトイホビー売り上げは、玩具の他、アパレル、食玩、文具なども含みます)
2010年からのデータは下記の通りとなります。
相関図を作るとこうなりました。
「たのしい幼稚園」と「おともだち」の印刷部数合計数とプリキュアのバンダイトイホビー売り上げ(1~12月)には、
相関係数0.94の強い正の相関が認められました。
プリキュア自体の売り上げと、幼児誌の印刷部数は連動してるっぽいのです。
ただし。
これは、相関があるだけで因果があるわけではない例ではないかと思います。
要は、プリキュアは年々売り上げが落ちてきているのと同時に、幼児誌の印刷部数も年々が落ちてきているのが、「たまたま相関している様に見える」だけではないかと思います。
しかし、ある意味この2つが相関している、という事実は今後幼児誌の動向を見ていけば、ある程度プリキュアの状況が解る事を意味しているのかもしれません。
「おともだち」表紙の変遷
最後に「おともだち」の表紙の変遷です。
幼児誌の状況がプリキュアの状況を反映するものだとすると、
その表紙を眺めていると、「見えてくるもの」があるかもしれません。
サンプルとして、「おともだち」5月号を2006年から集めました。
(アマゾンに画像があって助かります)
「おともだち」の表紙はかつては、「戦隊もの」と「プリキュア」だったのが、
フレッシュプリキュアあたりから「プリキュア」オンリーへと変遷し、
2016年になって、「ひみつのここたま」が進出してきています。
2016年5月号の表紙はプリキュアの他「ひみつのここたま」が進出してきています。(右上にヤツらがいる)
「ひみつのここたま」は2016年1月から表紙に出てきたのですが、
↓1月号には左上にちっちゃく載っていた「ここたま」が、
↓2016年5月号ではだいぶ大きな扱いになってきました。
さて、これが何を意味してくるのか。
今後この「ここたま」の侵食具合をチェックしていくと、色々な事がわかってくると思います。
「バンダイの思惑」「講談社の思惑」「東映アニメーションの思惑」
雑誌の表紙ひとつで色々と邪推するのも、楽しいものです。
(おわり)