今人類が向かいつつある、5600万年前に起きた「未来」とは?

2016.05.03 08:00
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歴史は繰り返すとはいうけれど...

46億年あるといわれる地球の歴史のなか、現代に発生している気候変動について、地質学者たちはPETM暁新世 - 始新世境界温暖化極大)と呼ばれる5600万年前の大規模な気候変動が最も近いとずっと考えてきました。

PETMは、英語で "Paleocene-Eocene Thermal Maximum" の略で、数千年以上にわたって大気中に大量の炭素が放出されたといわれる地質時代のイベント。その主な原因についてはいまだに議論されているようですが、今日、当時よりもずっと速いスピードで大気中にCO2を排出し続けているといわれているのが、われわれ現代人です。

Scienceによると、「いますでに起きている気候変動や生態系の変化の多くは、5590万年前にも起きていた」と、ペンシルベニア州立大学の気候科学者Richard Alleyが指摘しています。

以下のリストは、PETMの間に起きたといわれる現象。完全に網羅しているわけではありませんが、リンク先には過去数年にギズモードで紹介した現代の気候変動にまつわる記事があります。


長期化する干ばつの一方で、増える土壌浸食激しさと規模を増す

地球のあちらこちらで種の大量移動が起きる

・哺乳動物の小型化

サンゴ礁の生態系の崩壊

・外来種、猛暑、水不足、土壌肥沃度の低下などによる植物へのストレス増加

大量絶滅

長引く大気中の炭素濃度上昇


科学者たちの概算によれば、PETMの間に増加した炭素濃度の総量は、現代の人間が石炭、石油、ガスなど今ある化石燃料をすべて消費するのとほぼ同じです。

ところがPETMの場合は、現代よりもずっと長い年月を経たものであると指摘するAlleyは、「生態系への影響を考えるなら、人間が日常的に炭素を排出している現代のほうがよほどシビアである」と、警鐘を鳴らしています。

現代人にとって、上記のリストの項目はもの珍しい現象でないことから、5600万年前に起きた"未来"はすでに始まっているといっても過言ではありません。アメリカや中国、そして日本をはじめとする175カ国が地球温暖化対策のパリ協定に調印した今、改めて地球全体が地球のことをいたわる暮らしが求められています。


Top image by Chris Blackhead / Flickr
source: Science

Maddie Stone - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)

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