“買い物弱者”支援 物流大手などがビジネスに
日常の買い物に困っている、いわゆる「買い物弱者」が都市部でも増加するなか、東京の大規模団地で、大手物流会社などが買い物や家事を代行する事業を、自治体の補助金などに頼らない独立したビジネスとして始めることになりました。
東京西部の住宅団地「多摩ニュータウン」で始まるこの事業は、物流大手のヤマトホールディングスや、団地を整備したUR=都市再生機構、それに多摩市などが協力して28日から始めます。
27日は事業の拠点として団地の中に建設した施設の完成を祝う式典が開かれました。この中で、多摩市の阿部裕行市長は「ニュータウンの再生を進め、次の世代に住んでもらえる街にしたい」と述べました。
昭和40年代から段階的に開発が進められた多摩ニュータウンでは、住民の高齢化や地元の商業施設の閉鎖が進み、日常の買い物に困っている「買い物弱者」が増加傾向にあるということです。
今回の事業では、電話などで注文を受けて地元のスーパーの商品を自宅に届ける買い物の代行に加えて、部屋の掃除や電球の取り替えといった家事の代行も請け負います。
「買い物弱者」を支援する事業は採算をとるのが難しいとされていますが、団地内に拠点を設けることで配送にかかる経費を抑えたり、大規模な住宅団地というメリットを生かして多くの利用者を確保したりすることで、国や自治体の補助金などに頼らない利益の出るビジネスにすることを目指すとしています。
ヤマトホールディングスの長尾裕執行役員は「ビジネスとして成立させ、住民に継続的にサービスを提供することがまず重要で、十分可能だと考えている。ほかの地域で展開することも検討していきたい」と話しています。
27日は事業の拠点として団地の中に建設した施設の完成を祝う式典が開かれました。この中で、多摩市の阿部裕行市長は「ニュータウンの再生を進め、次の世代に住んでもらえる街にしたい」と述べました。
昭和40年代から段階的に開発が進められた多摩ニュータウンでは、住民の高齢化や地元の商業施設の閉鎖が進み、日常の買い物に困っている「買い物弱者」が増加傾向にあるということです。
今回の事業では、電話などで注文を受けて地元のスーパーの商品を自宅に届ける買い物の代行に加えて、部屋の掃除や電球の取り替えといった家事の代行も請け負います。
「買い物弱者」を支援する事業は採算をとるのが難しいとされていますが、団地内に拠点を設けることで配送にかかる経費を抑えたり、大規模な住宅団地というメリットを生かして多くの利用者を確保したりすることで、国や自治体の補助金などに頼らない利益の出るビジネスにすることを目指すとしています。
ヤマトホールディングスの長尾裕執行役員は「ビジネスとして成立させ、住民に継続的にサービスを提供することがまず重要で、十分可能だと考えている。ほかの地域で展開することも検討していきたい」と話しています。
少子高齢化でスーパー撤退
多摩ニュータウンの貝取地区では、少子高齢化によって入居率が下がっていて、6年前には商店街の中心にあったスーパーが閉店しました。
この地区に30年以上、夫と2人で暮らしている今泉伸子さんは、長い距離を歩いたり、重い荷物を持ったりすると足が痛むということですが、夫が病気で車を運転できなくなったため、最寄りのスーパーまで徒歩とバスで20分以上かけて買い物に出かけています。
また、団地にエレベーターがないため、5階にある家まで買い物の荷物を持って階段を上がるのはつらいと話しています。
今泉さんは「かつては商店街が近くにあって便利だったが、どんどんお店が閉店し、若い人も減ってしまった。夫が病気で私しか動けないので、今後のことが心配です」と話していて、今泉さんは新たに始まる買い物や家事の代行サービスの利用を検討したいとしています。
この地区に30年以上、夫と2人で暮らしている今泉伸子さんは、長い距離を歩いたり、重い荷物を持ったりすると足が痛むということですが、夫が病気で車を運転できなくなったため、最寄りのスーパーまで徒歩とバスで20分以上かけて買い物に出かけています。
また、団地にエレベーターがないため、5階にある家まで買い物の荷物を持って階段を上がるのはつらいと話しています。
今泉さんは「かつては商店街が近くにあって便利だったが、どんどんお店が閉店し、若い人も減ってしまった。夫が病気で私しか動けないので、今後のことが心配です」と話していて、今泉さんは新たに始まる買い物や家事の代行サービスの利用を検討したいとしています。
“買い物弱者”支援 採算は難しい
経済産業省の推計では、日常の買い物が困難な「買い物弱者」は全国でおよそ700万人に上るとみられています。山間部などの過疎地だけでなく、少子高齢化に伴って、都市部やその郊外で増加する傾向にあるということです。
買い物弱者を支援する事業は各地で行われていますが、採算をとることが難しいのが実情です。一定のエリアの中でまとまった数の利用者を集めることが難しく、物流にかかる経費がかさむためで、多くの事業者が、国や自治体の補助を受けたり、別の事業で赤字を補填(ほてん)したりして、事業を継続させているということです。
買い物弱者を支援する事業は各地で行われていますが、採算をとることが難しいのが実情です。一定のエリアの中でまとまった数の利用者を集めることが難しく、物流にかかる経費がかさむためで、多くの事業者が、国や自治体の補助を受けたり、別の事業で赤字を補填(ほてん)したりして、事業を継続させているということです。