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<長町−利府断層>仙台直下 動けば震災以上

 熊本、大分両県で相次ぐ地震は活断層のずれによって起きた直下型だった。活断層は東北にもあり、中でも都市機能が集中する仙台市街地を分断する長町−利府断層が活動すると、大規模な都市型災害が懸念される。専門家は「東日本大震災以上に揺れる恐れもある。住宅の耐震化など対策の見直しが必要だ」と改めて注意を促す。
 活断層は将来も活動するとみられる断層で、国内で2000以上確認されている。東北では17の活断層=地図・表=が、国の地震調査研究推進本部の研究評価の対象になっている。
 内陸の浅い部分で起きる直下型は地上に大きな被害をもたらす。2008年の岩手・宮城内陸地震はマグニチュード(M)7.2、最大震度6強を観測した。
 宮城県村田町から利府町に延び、仙台の中心部を横切る長町−利府断層は、地震の規模がM7.0〜7.5と阪神大震災クラスが予想される。
 東北工大の神山真名誉教授(地震工学)は「直下型は震源が10キロ程度と浅いため、爆発が起きたような揺れになる。緊急地震速報も間に合わないだろう」と推測する。長町−利府断層の上を東北新幹線や在来線、地下鉄、国道が通る。神山氏は「液状化、土砂災害、火災など複合的な被害が考えられる」と説明する。
 仙台市は02年、長町−利府断層の被害想定をまとめ、被害の危険度を示すハザードマップを公開した。震度は市街地のほぼ全域が6強、太白区役所周辺など数カ所で7に達する。地盤の弱い東部で建物被害が大きく、宮城野区、若林区は液状化の危険性も高い。
 揺れによる被害は最大震度6強を観測した東日本大震災を上回る可能性もある。仙台市防災計画課は「直下型地震は家屋の被害が大きいと想定される。耐震化や家具の転倒防止について引き続き周知を図るとともに、多数の避難者に対応できるよう避難所の運営態勢を整える」と話す。
 減災・復興支援機構(東京)の木村拓郎理事長は「震災で傷んだ柱、屋根、ブロック塀などは再度の揺れで損壊しやすい。急傾斜地の土砂災害も心配だ。5年前に大丈夫だったからと油断せず、対策を継続してほしい」と呼び掛ける。

[長町−利府断層]長さ約20〜40キロ。長町−利府線、円田、坪沼、大年寺山など複数の断層で構成される「長町−利府線断層帯」とも呼ばれる。東北工大の神山真名誉教授によると1000年に約0.6メートル動き、3メートル動くのに5000年かかる。仙台市の被害想定は死者1032人、負傷者1万3254人、長期避難者17万9319人。建物の全半壊が約5万棟。30年以内の発生確率は1%以下だが、国の区分では「やや高い」グループになる。


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2016年04月25日月曜日

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