JR福知山線脱線事故から11年 追悼慰霊式

JR福知山線脱線事故から11年 追悼慰霊式
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107人が死亡したJR福知山線の脱線事故から11年の25日、現場近くの兵庫県尼崎市のホールでは、事故が起きた時刻に合わせて追悼慰霊式が行われました。
平成17年4月25日、兵庫県尼崎市でJR福知山線の快速電車がカーブを曲がりきれずに脱線し、線路脇のマンションに衝突して乗客ら107人が死亡、562人がけがをしました。
現場では、事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に通過する電車が速度を落としながら警笛を鳴らして、亡くなった人たちへの哀悼の意を表しました。マンションのそばや線路沿いでは、遺族をはじめ大勢の人たちが電車を見守り、静かに手を合わせていました。
また、現場近くにあるホールでは追悼慰霊式が行われ、遺族やけがをした人たち、それにJR西日本の幹部など800人余りが、事故が起きた午前9時18分に全員で黙とうしました。このあとJR西日本の真鍋精志社長が「11年前、私どもは皆様のかけがえのない命を奪ってしまいました。すべてを奪われた皆様の無念に思いを致すとき、事故の重大さと、経過した年月の重みを痛感いたします。本当に申し訳ありませんでした。二度と重大な事故を発生させないとの決意のもと、全員参加で安全を作り上げる努力を重ねてまいります」と述べました。
現場のマンションでは、ことし1月から、事故の痕跡を保存し未来に教訓を伝える施設を作る工事が始まっていて、2年後の夏に完成する予定です。25日は犠牲者を追悼するため工事が中断されていて、事故を見つめ直し安全の大切さを改めて考える一日になります。

現場を訪れた遺族は

事故で当時21歳の長女を亡くした兵庫県三田市の奥村恒夫さん(68)は、「今も目を閉じると、娘が生まれたときからのことを走馬灯のように思い出します。気持ちとしては現場を見たくはありませんが、一部を保存するとはいえ、マンションの解体は記憶の風化につながると思います。娘が亡くなった、何にも代え難い場所なので、このままの姿で残してほしいです」と話していました。

車内で冥福祈るアナウンス

11年前に事故を起こした電車とほぼ同じ時刻に走るJR福知山線の快速電車は、午前9時前に宝塚駅を出発しました。
車内では「事故からきょうで11年を迎えます。亡くなったお客様のご冥福をお祈りし、事故を心に刻んで安全運行に努めてまいります」という車掌のアナウンスが流れました。そして、事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に事故現場のカーブにさしかかると電車はスピードを落とし、10秒ほど警笛を鳴らして、亡くなった人たちへ哀悼の意を表しました。
車内は月曜日とあって通勤や通学の人たちで混み合っていましたが、涙を流す人や手を合わせる人たちで静粛な雰囲気に包まれました。乗客の55歳の会社員の男性は「あの日は事故を起こした電車の2つ前の電車に乗っていたので、ひと事とは思えませんでした。亡くなった人たちには安らかに眠ってほしい」と話していました。