次世代不揮発メモリを開発--インテルがストレージ技術への投資を加速する理由

大河原克行 2016年04月16日 08時00分

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 インテルは4月15日、「Storage Builders Executive Summit」を開催。米本社ストレージ事業部ディレクターのGlenn Weinberg氏が基調講演に登壇し、米国で3月31日に発表されたパートナー向けプログラム「Storage Builders Program」、Micron Technologyと共同開発した不揮発性メモリ技術「3D XPoint」をはじめとするストレージ技術に触れた。

 Weinberg氏は、「情報が爆発的に増加する一方で、複雑な従来のストレージインフラでは、ストレージが抱える課題を解決できないという状況が生まれている。フラッシュストレージなどの新たな技術の活用、クラウドにエンタープライズを統合したいといった動きもある。さらに、ストレージのコストが劇的に下がっているという状況も見逃せない。ストレージは、大きく変化しなくてはならない環境にある」とストレージを取り巻く現在の環境に言及した。

Intel ストレージ事業部ディレクター Glenn Weinberg氏
Intel ストレージ事業部ディレクター Glenn Weinberg氏

 「かつては、ストレージはアクセスが遅いという課題があったが、SSD(ソリッドステートドライブ)の登場や革新的な“(メインメモリであるDRAMとストレージのNANDフラッシュメモリの間を埋める不揮発性メモリ)ストレージクラスメモリ(Storage Class Memory:SCM)”で解決されている」

 こう解説したWeinberg氏は続けて「それにあわせて、IntelのNVMe(Non-Volatile Memory Express、ストレージに接続するための規格)SSDや3D XPointが注目を集めている。情報システムは今後、ストレージの問題からネットワークの問題へと課題が移行することになるだろう。2017年にはエンタープライズの半分以上がハイブリッドクラウドを実装するという予測もある」と語った。

 こうした見方を示した同氏は「それにあわせて、統合型と分散型のクラウドを組み合わせたクラウドアーキテククチャベースのストレージで実現される“シームレスデータサービス”が求められている。これは、俊敏性、自動化、セキュリティを持ったものであり、効率化、拡張性、整合性などのメリットを提供することになる。今や多くのユーザーにとって、ストレージをモダナイズする必要がある」と主張した。

 Weinberg氏は続けて「今後、データセンターストレージへの投資を加速することになる。具体的には、ストレージに最適なプロセッサの開発への投資に加えて、3D XPointをSSDにした“Intel Optane”を提供。さらにソフトウェアでは新たなストレージパフォーマンス開発キット(SPDK)の提供、パートナーと連携した次世代ストレージを提供するためのStorage Buildersの実施、ストレージに最適化された新たなソリューションリファレンスデザインも提供する」ことを明かした。

 「特にエコシステムの推進により業界を牽引するのはIntelが得意とするものであり、ストレージ領域でも、これを強力に推進していく。開発のための労力を軽減し、相互運用性の向上や次世代ソリューションの推進、そして、開発期間の短縮でいち早く市場投入ができるというメリットを提供できる」

インテルが展開するパートナープログラム「Storage Builders」に参加する企業
Storage Buildersに参加する企業

 Storage Buildersには現在、73社のパートナーが参加しているという。Weinberg氏は「これらの参加企業を足すと、55%のマーケットシェアを持っている。これをさらに拡大させ、年内には75%のマーケットシェアにまで拡張したい。一緒に協力することで、シームレスなデータ環境を実現し、エンドトゥエンドのソリューションとして提供していくことが大切である」とした。

 3月31日に発表したストレージ向けXeonプロセッサ「E5-2600 v4」も説明した。13種類の製品で標準版、長寿命版、高温動作版といった幅広いラインアップを用意し、拡大するストレージ用途に対応できることを示した。Xeonに対応するSSD製品も投入する。「初のバリューモデルの耐久性を持ち、初の3D NANDであり、デュアルポートを初めて搭載した」と説明した。

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