京大・近大原子炉「合格」 教育研究用で初
原子力規制委員会は13日の定例会で、京都大と近畿大の教育研究用の低出力原子炉2基について、新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。事実上の合格証に当たる。東京電力福島第1原発事故を踏まえて安全対策が強化された新基準に基づく教育研究用原子炉の合格は初めて。新基準がハードルとなり、2年以上停止していたため人材育成の停滞が懸念されていた。
規制委が新基準に適合しているとしたのは、京大原子炉実験所(大阪府熊取町)の出力100ワットの臨界実験装置と近大原子力研究所(東大阪市)の出力1ワットの原子炉。
規制委は、2基で地震による事故が起きても周辺住民への被ばくは5ミリシーベルト未満に抑えられると確認。火災対策については、京大炉では消火装置を新設。近大炉は、周囲で火災が起きても原子炉に影響はないなどとした。
審査書案は、文部科学相と原子力委員会への意見照会を経て近く正式に決定される。近大炉は2014年2月、京大炉は同年3月から定期検査のため運転を停止していた。京大炉は6月以降、近大炉は9月以降に運転再開する見込み。【鳥井真平】