日本、17年GDP成長率はマイナス0.1%
世界経済見通し 17年4月予定の消費増税が重荷に
【ワシントン清水憲司】国際通貨基金(IMF)は12日発表した最新の世界経済見通しで、2017年の日本の実質国内総生産(GDP)成長率をマイナス0.1%とし、前回(1月)見通しから0.4ポイント下方修正した。17年4月に予定される消費増税が重荷になるためだ。16年も個人消費の弱さなどから0.5%との見通しを示し、0.5ポイント引き下げた。
IMFは日本経済について「最近の円高と新興国需要の弱まりで、16年前半は経済活動が抑制される」と予想。その後、資源安や補正予算の効果が成長を後押しするものの、消費増税で17年はマイナス成長に落ち込むと見込んだ。日銀のマイナス金利導入は「民間需要を支援すると期待される」として前向きに評価した。
世界経済全体の成長率も下方修正した。16年は3.2%と予想して0.2ポイント引き下げ、17年も0.1ポイント下方修正し3.5%と見込んだ。先進国が力強さを欠く中、中国経済の減速や資源安の影響で、資源輸出国のロシアやブラジルは深刻な不況が続く見通し。中国は財政支出拡大による景気下支えを打ち出したことを受け、小幅に上方修正した。
年明けに混乱した金融市場は落ち着きを取り戻したものの、IMFは「下振れリスクは依然大きく、金融の混乱が再発することもあり得る」と先行きに警戒感を表明した。
難民の増加に加え、英国で欧州連合(EU)からの離脱論が高まったり、米国で自由貿易への反発が強まったりするなど政治的な逆風に見舞われていることも指摘し、「賃金が上昇せず、格差が拡大する中、多くの人々が取り残されたと感じている。低成長は内向きで民族主義的な政策の進行を助長する」との分析も示した。各国当局には「回復が頓挫するリスクに対するため、即時かつ先を見越した対応が求められる」として、金融緩和だけでなく、財政出動や構造改革による成長力強化を呼びかけた。