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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

子供に暴力を振るうのが「しつけ」だと思っている親はいいかげん目を覚ませよ。

子育て

先日、奈良県で2歳の長男を衣装ケースに閉じ込めて死亡させたとして、39歳の父親が逮捕された。

news.tv-asahi.co.jp

上記記事から引用すると…

自宅で2歳の長男・幸也ちゃんをプラスチックケースに入れてふたをしたまま放置し、その後、死亡させた疑いが持たれています。調べに対し、井上容疑者は「しつけとして叱るつもりでやった。殺すつもりはなかった」と殺意については否認しています。 

別の記事では、これまでも何回も同じことをやっており、「殺すつもりはなかった」というのはおそらく本当なのだろうと思う。

headlines.yahoo.co.jp

調べに対し、井上容疑者は「息子が3歳の長女と部屋で暴れていたので、しつけとしてケースに入れ、20~30分放置したら長男だけがぐったりしていた。殺すつもりはなかった」と容疑を否認。衣装ケースへの閉じ込めはこれまでに「何回もしている」と話しているという。

 だが、だがだ。

「衣装ケースに2歳と3歳の子供を閉じ込め、蓋をして20〜30分放置」というのは、普通に考えて「躾」の域を超えていると言わざるを得ない。

だって、あのスペースである。まともに身動きも取れない状況で、恐らく2人はバタバタと暴れまわったのだろう。下記の朝日新聞の記事によれば、空の衣装ケースではなくおもちゃやCDも入っていたという。

www.asahi.com

幸也君の身長は90センチ、長女は96センチ。ケースにはCDやぬいぐるみなどのおもちゃ十数点も入っていた。司法解剖の結果、幸也君に目立った外傷はなく、死因は窒息による低酸素脳症と判明した。

ケースの大きさはというと

おもちゃ入れのケース(高さ30センチ、幅80センチ、奥行き40センチ)

2人の身長よりも遥かに小さい。ここにおもちゃが入っている状態で閉じこめ、蓋をして30分放置して、なにかが起きないと思えるほうがあまりにも想像力が欠如していると言わざるを得ない。

過去に、自分も祖父や祖母によって「閉じ込められた」事はあった。だが、そこは衣装ケースなどではなく縁の下や天井裏、押入れなど十分なスペースがあるところだった。

一軒家でなければそういうスペースは流石にない。だから、こういう極めて小さな空間に閉じ込めるという「躾」が起こりうるのだろう。

だが、それは本当に躾なのか?

確かに子供は言うことを聞かない。まあ、育て方にもよるが、ウチの1歳3ヶ月の娘もまだ「ダメ!」と言ってもほとんどいうことを聞いてくれない。だけど、それは仕方ないと思っている。だって、まだそういう判別がつく年ではないからだ。

2歳にもなれば、少しはそういうことに対して反応できるようになっていたのだろう。だが、この親は子供をその身長よりも小さなケースに閉じ込めてしまった。押し込めたと言ってもいいくらいだろう。

これは、躾ではない。躾の放棄である。

簡単なのだ。言うことを聞かない子供を閉じ込めて反省させる。子供は怖がって暫くは言うことを聞く。いわば、家庭内ファシズムである。だが、こういうのは長続きしない。子供というものはテンションが上がると歯止めが効かなくなってしまうからだ。

子育ては根気が重要である。

何度も何度も同じことを言い聞かせ、ダメなものはダメと分かってもらう。大人だってダメなものをダメと分かっていながらやることはあるだろう。車の速度制限を一度足りとも破ったことのない人間は早々いるものではない。ましてや子供であればもっと歯止めが効かないのは自明である。

だが、そこを根気よくわかってもらうのが子育てであり、躾なのだ。断じて「言うことを聞かない子供に恐怖を味あわせて懐柔させる」事が躾なのではない。そう思っている人もいるだろうが、本来は「礼儀や作法を教えこむこと」が躾なのだ。暴力によって「服従」させることではない。

前述のとおり、この親は「殺すつもり」は無かったのだろう。これまでにも何度もやっているのだ。だが、子供は成長する。大きくなった子供にいつまでも同じ事をやり続けて、いつかはこういう事が起きるかもしれないという結論に思い至らなかった時点で、これは「殺人」である。

「躾」は暴力によってもたらされるものではない。

愛によってもたらされるものなのだ。

 

※ちなみに、死因については下記のid:iGCNさんのエントリに推測が載っている。

igcn.hateblo.jp

切ない…