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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

家族関係の悩みを解くカギは、「親の業」を知って受け入れること

家族関係の悩みを解くカギは、「親の業」を知って受け入れること

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『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(草薙龍瞬著、海竜社)の著者は、宗派に属さず活動をしている僧侶。『反応しない練習』(KADOKAWA)などに続く新刊である本書においては、「家族」をテーマに設定しています。

家族の基本とは、みなが平穏に暮らせること。(中略)それなのに、実際には、家族だから苦しめ合っている現実がある。(中略)ただの他人なら悩まなくてすむことが、「家族だから」悩んでしまう。奇妙な話だ。その「理由」は何なのか。どうすれば平穏で幸福な関係で居られるのか。そこを一緒に考えようというのが、この本の目的だ。(「はじめにーー家族に"希望"を見つけよう」より)

こう記す著者は、「家族が抱える悩みには"業"という大きな理由が潜んでいる」ともいいます。いうまでもなく業とは仏教の言葉であり、"人生をつくっている力"のこと。わかりやすい例は「性格」であり、怒りっぽい人は「怒りの業」を持ち、いつも不安を感じている人は「不安という業」を持っているということ。

だからこそ、もし家族について悩み続けているなら、自分と相手の業を理解することからはじめるのが大切。特に理解すべきは、「親の業」がどれだけ深く影響しているかということだとか。そこで第1章「"業の正体"を知る」に目を向けてみたいと思います。


親の業を知れば、人生の謎が解ける


長く続いている悩みや苦しみから抜けたいなら、「自分の業」をよく知ることが大切だと著者。なぜならそこには、自分の人生を支配している心の力が潜んでいるから。そして自分の業を知るうえでもっとも効果的なのが、「親の業」を知ることなのだそうです。いうまでもなく親は、自分が最初に影響を受けた相手だからです。

だからこそ、人生につきまとう多くの悩みを解決するカギが「親の業」にある。そう断言する著者は、"業の診断テスト"を勧めています。次の項目について「自分に影響を与えた親」(両方でも片方でも可)のことをふり返り、「はい(あてはまる)」と思うものを数えていけば、親の業が手に取るようにわかるというのです。

※「どちらでもない」(迷ってしまう)ときは、「いいえ」を選んでください。
※また各項目の1.から5.のうち、「いまも苦痛として残っている(反応してしまう)」ものがあれば、その番号を◯(マル)で囲っておきましょう(最大の業につながっている可能性があるそうです)。

1. ○○○○○型 ※○に入る業のタイプはあとでご紹介。

1. たくさん習い事をさせられた
2. 一方的に決められる(自分で選べない)ことがけっこうあった
3. 子どもを育てるための苦労話をよく聞かされた
4. 褒められた記憶が少ない・厳しく躾けられた・叱られた
5. 「親に~しろ」と求められることが多かった

2. ○○○○○型

1. 悪いことをした覚えはないのに、よく叱られた
2. 親自身の人生への嘆き・不満・愚痴をよく聞かされた
3. 親が強かった・親の顔色をよくうかがっていた
4. 自己否定感(コンプレックス・挫折感など)の強い親だったと思う
5. 小さなことによく干渉・口出しされた

3. ○○○○○型

1. 子どもがなにをするか、一方的に決めつけ・命令・指示されることが多かった
2. 失敗したり反抗したりすると、親は激しく怒った・動揺した
3. 近所の噂話や他の家庭の話をよく聞かされた
4. 「世間に笑われる」「このことは外には内緒だよ」とよくいわれた
5. 細かいことを気にする親だった(神経質・完璧主義・過干渉)


4.○○○○○型

1. いつも見張られている・干渉・束縛されている気がした
2. 外の活動(外出・友人・進路等)に口を出されることが多かった
3. 私物(プライベートな持ち物)・部屋を探索されることがあった
4. どちらかといえば、人を疑う・信用しないタイプの親だった
5. いったことを忘れている・いうことが変わることが多かった

5. ○○○○○型

1. あまりかまってもらえなかった
2. 褒められた記憶が少ない
3. 勉強・友だちのことなどをあまり聞いてこなかった
4. 話をはぐらかされた・約束を守ってもらえないことが多かった
5. 親がどういう性格・人間だったか、いまでもよくわからない

6. ○○○○○型

1. 「~しなさい」と一方的に命令されることが多かった
2. 他人の動向や学歴・性格などを話題にする(論評する)ことが多かった
3. 他人のことはネガティブ(否定的)にいうことが多かった
4. 家族が意見をいう・反対することを許さなかった(いうと激怒した)
5. 自分に落ち度があっても絶対認めなかった(開きなおる・逆ギレする・責任転嫁してくる)

7. ○○○○○型

1. いうこと・気分がころころ変わる親だった
2. アルコール・ギャンブルなど嗜癖(しへき)に走る(ハマる・溺れる)ところがあった
3. 家事・子どものことは、放ったらかしだった
4. 感情に任せて怒鳴る・暴れる・罵倒することがあった
5. 親がなにを考えていたか・どんな人間だったか、いまもよくわからない
(51ページより)

1から7のそれぞれには、特定の業のタイプ――その人の人生を支配している心の力(心の働き)----を意味しているのだそうです。「はい」が多かったものが"親の業"----親の人格・人生をつくったもの。3つ以上「はい」がついた場合は、親がかなり強い業の持ち主だった可能性があるといいます。

では次に、親が持っていた業のタイプを見てみましょう。


"親の業"のタイプは7種類


1. 求めすぎ型----期待・要求が過剰なタイプ
この項目に「はい」がついた人は、親から過剰な期待・要求を向けられていた可能性あり。「子どもがやりたいこと」ではなく、「自分がさせたいこと」をやらせるタイプの親だということ。

本心は「自分の欲を満たしたい」ことにあるものの、「子どものため」というのが特徴。だから、子どもを褒めようという発想がなく、逆に叱ったり説教したりするため、子どもには褒められた経験がほとんど残らないわけです。(56ページより)

2. 怒り型----なぜかいつも怒っているタイプ
ここに「はい」がついた人は、親が"怒りの業"を抱えていた可能性が。
「よくわからない理由で叱られた」のは子どもが悪かったからではなく、最初から親に別の怒りがあったから。たとえば親に自身の親(子にとっての祖父母)への怒りや挫折感があったら、大人になっても怒りは続くわけです。その怒りのはけ口を見つけるため、子ども・家族のあら探しをし、八つ当たりのように批判したり、怒鳴ったり、暴力を振るったりするということ。

コンプレックスの強さや挫折感など自己否定感の強さも、怒りの原因。内心で自分を否定しているため、潜在的な不満を抱え、それが怒りにつながるということ。(57ページより)

3. 決めつけ・判断しすぎ型----「すべき」「でなければならない」という規範・観念で他人をコントロールしたがるタイプ
「でなければならない」という決めつけで他人をコントロールしたがるタイプ。家族にも「こうあるべき」と決めてかかるので、口うるさく、失敗を許さず、反抗しようものなら逆上するか嘆くか、相手の意思・人格を認めようとしないわけです。

「誰かによしと判断してもらうこと」が大事なので、「他人の目」「世間体」「近所の評判」などを気にすることに。世間・他人の噂話が好きな一方、都合の悪いことは「内緒に」したがるそうです。(58ページより)

4. 妄想型----干渉・疑い・嫉妬・不信・溺愛など、頭のなかで相手を私物化しているタイプ
このタイプには、頭のなかで相手のことを想像し続け、その想像どおりに相手が動くことを求めてくるという特徴が(干渉・束縛・心配性)。
妄想が過剰になると、それに反する現実を受け入れられなくなるのだそうです。そのため、子どもが外で活動することや、進学・結婚・就職さえ「不快」に思うことに。あくまで自分の妄想の範囲内、親の手元にいてほしいということ。

妄想で頭がいっぱいになると、現実と妄想との区別がつかなくなるため、忘れることも話の内容を変えることも平気。本人にとっては、「いまこう思う(妄想する)」ことがすべてであるわけです。(59ページより)

5. 関係希薄型----愛情が乏しい・関わり方を知らない・関わることに興味がないタイプ
人と関わることが苦手・他人に興味がない・そもそも人とどう関わればいいかわからない人。自分自身が子どものころ、親にかまってもらえなかった・愛してもらえなかった可能性があるため、自分が親になったあとも、「子どもと向き合う」「話を聞く」といった発想が皆無。約束を守らないことも平気で、自分をあまり語らない「ナゾの親」でもあるのだとか。(60ページより)

6. 傲慢・支配者型----自分の要求は通って当たり前・自分が絶対正しいのだと思い込んでいるタイプ
「自分は正しい・偉い」という思い込みに凝り固まったタイプ。自分が正しいので、自分の要求が通るのは当たり前だということ。命令するのが当然で、人の意見を聞く耳は持たないわけです。少しでも逆らうと、ヘソを曲げたり、理屈をつけて反撃してきたりすることに。

また、他人を「上から」評価することが大好き。その一方、自分の失敗や落ち度、不利なことは隠そうとするもの。つまりは自分の価値(承認されること)がなによりも大事だということです。(61ページより)

7. 支離滅裂・身勝手型----やりたい放題で、人の迷惑をまったく顧みないタイプ
つまりは「自分しか見えていない」タイプ。相手への配慮、親の役割・義務を果たすといった発想が抜け落ちているわけです。

いうこと・やることがコロコロ変わるのも特徴のひとつ。いってみれば、その場の気分次第なので、家のなかが平穏無事にはならないということ。(62ページより)


「親の業を知る」ことで人生は動き出す


親の業は一種類とは限らず、2つ、3つ、さらにそれ以上を併せ持った「業のハイブリッド・タイプ」もいるそうです。親がそういうタイプだった場合、庇いようがなくて戸惑う人もいるはず。ただし親もひとりの人間なので、「親がどんな業に駆られて生きていたのか」を理解することは、相手を「受容する」ために必要な作業でもあると著者はいいます。

相手を理解して初めて、あきらめなければいけないことはあきらめ、もう一度「関わりなおす」ことも可能になるということ。

「親とそっくり」な自分が見えてきて悲しくなることがあるかもしれませんが、それは家族が抱えている悩みを解決していくための「通過儀礼」。「そうか、親を理解することは、親との関わり方・自分の生き方を確立するために必要な作業なのだな」と思いなおすことが大切だということです。「正しい理解」の先には、必ずゴール(苦しみからの解放)が待っているもの。だからこそ、「ここから先は、もっと楽になれる」と安心して先に進むことが大切だと著者はいいます。(63ページより)




これまでの著作がそうであったように、押しつけがましさとは無縁。だからこそ、特に仏教には関心がないという人でも、素直に受け入れることのできる内容だといえます。家族との関係で悩んでいる方は、ぜひ手にとってみてください。


(印南敦史)

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