ヨーロッパに残った最後の原生林、保護のため伐採へ
仕方ないとしても、やっぱりちょっと残念…。
ポーランドとベラルーシの国境にまたがって広がる、ビャウォヴィエジャの森。ここは、現在ヨーロッパにある森林の中で、唯一人間の手が加えらていない原生林です。
ポーランドの環境省は先日、今後10年間で、ビャウォヴィエジャの森の18万立方メートルほどを伐採する計画を発表。これにより、人の手が入っていない原生林が、ヨーロッパから消滅することになります。
ビャウォヴィエジャの森が知名度を得たのは、ジャーナリストであるAlan Weisman氏によって記された「The World Without Us」という書物。彼はこの森を表現して、「子供の頃、グリム童話を読み聞かせられたときに想像したような、霧深い、ある種気味の悪い森。ここでは、およそ45mものトネリコとリンデンの木がそびえ立ち、その影の下には、シデやシダなどがもつれ合うように茂っている」と記しています。
他の多くのヨーロッパの森が人間によって開発されていく中、ビャウォヴィエジャの森は、ポーランド王やロシア皇帝のための狩猟場として手付かずで残ってきました。その希少さから、1979年にはUNESCOの世界遺産としても登録済み。
気になる伐採の理由ですが、ポーランドの新しい環境大臣、Jan Szyszko氏によると「朽ちた木の内側に生息する甲虫が原因で、健康な木にまで影響が出るため」とのこと。
今回伐採されるのは、世界遺産に登録された場所は含まれていないとのことですが、環境保護団体グリーンピースはこの決定に反対の意志を示し、ポーランドの一部科学者たちも「数えきれない年月を経た森に対し、そのような干渉をするのはうぬぼれだ」と厳しく指摘しています。
膨大な年月に渡って生態系を築いてきた森林にとって、人間の手が加わることがプラスなるのか、判断は分かれそうです。やむないことだとわかっていても、何だか少し切ない気分にもなってしまいますね。
image by Wikipedia
source: Phys Org、inhabitat、The Gurdian、Nature
Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US[原文]
(渡邊徹則)
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